自分の能力を上げてくれる独り言って?~セルフトークの活用法~
<独り言の研究>
今回のお題は独り言についてです。
独り言
研究では自分に向かって話しかける行為として、
自己会話とかセルフトークとか言われますね。
私も独り言は多いほうなのですが、
自分のパフォーマンスを
上げてくれる独り言
があるとしたら、
知っておいて損はないですよね?
今日はそんなお話です。
きっかけはメンタリストDaigoさんの動画を見たこと。
単体としても面白かったので、
気になった方は動画を見てみるといいでしょう。
Daigoさんといえばニコニコ動画で会員数トップであり、
毎日沢山の動画を発信している、
ある意味独り言のプロとも言える人ですね。
そんな彼の話はとても興味深かったです。
例のごとく要約・まとめは嫌われるらしいので、
パレオな男
https://yuchrszk.blogspot.com/2018/09/blog-post_29.html
でまとめられていた記事をベースに、
ここで紹介された研究や、
独り言に関する論文などから、
どんな独り言が私達の能力を高めてくれるのか考えていきたいと思います。
<セルフトークと運動能力の関係を調べる研究>
セルフトークに関する研究は、主にスポーツ科学の分野で
1980年代頃から注目されだしたもので、
今回の研究は2011年のものです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26167788
<大学>
テッサリア大学
<データ>
過去の研究32件の研究の中の
62件のデータを使ったメタ分析
今までの研究を総合した分析で信頼性は高いです。
ちなみに運動分野のものが主で、以下の
『垂直跳びとセルフトークによる向上率の実験』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18923954
みたいな研究の集合データと考えるといいでしょう。
<効果の有無>
効果量0.43
劇的ではないものの、
セルフトークによる効果は本物
という結果でした。
<セルフトークには2種類ある>
そもそもこの研究において
セルフトークというものは2種類に分けられるとされており、
自分が取り組むタスクによってやり会話が変わるんです。
1.意欲的セルフトーク
自分に言い聞かせて全体的なテンションやモチベーションを上げるもの。
「俺なら出来る」「やってやるぜ」「達成したらビールを飲むぜ」
2.指示的セルフトーク
自分のやるべき行動を言葉にするもの。
「背筋を伸ばせ」「目標をしっかり見ろ」
細かい部分に注意を向けるパターンなどが多い。
まずは全体的に効果が高かったのが、
2の指示的セルフトークです。
・集中力があがり
・注意力が乱れず
・プレッシャーに強くなる
という結果が見られました。
とはいっても意欲的セルフトークに意味がないわけではなく、
先程も述べたように、タスク内容によって使い分けることが重要です。
<セルフトークを正しく使うための3ステップ>
セルフトークはただその場で使えばいいわけではなく、
事前に準備が必要です。
これを行うか行わないかでパフォーマンスが大きく変わってきますので、
必ずやっておきましょう。
ステップ①タスクの種類を見極める
まずは取り組むべきタスクの種類を見極めます。
自分の作業が
・沢山のスキルを同時に発揮する必要がある
・全体的なモチベーションアップが必要
・テンションを上げなければいけない
といったように、
細かい行動が指定できないものに対しては、
意欲的セルフトークが有効です。
逆にそれ以外のタスク、つまり
・特定の技能に集中する必要がある場合
・注意すべき行動・ポイントが分かっている場合
には指示的セルフトークが効果的です。
ステップ②タスク内のポイントを見極める
意欲的セルフトークを行うなら、
単純に「自分は出来る!」というのではなく、
・なぜパフォーマンスを上げたいのか
・どうすればやる気を掻き立てるものは何か
を考えましょう。
モチベーションがどこから来るのか抑えておくことが重要です。
指示的セルフトークの場合は、
・自分の改善点はどこ?
・いつもミスするポイントはどこ?
・自分のパフォーマンスを下げているのはなんだろう?
と、具体的な課題ポイントあぶり出していきましょう。
ステップ③セルフトークを書き出す
最後はステップ②を踏まえて、
どんなセルフトークがいいのか
実際に使う言葉を書き出しておきましょう。
独り言を効果的に使うためには、
身につくまでは実際に見て確認できるようにしておくことが大切です。
あとは使うだけ!!
<運動以外にも使える?>
気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、
この
・客観的に自分を見て
・何が足りないのかを見つめ直す
という行動。
メタ認知的な効果があるんですね。
メンタリストDaigoさんはこの説明を飛ばして
「勉強以外にも使える」とおっしゃってましたが、
ここで軽く抑えておきます。
メタ認知とは
「客観的な自己」「もうひとりの自分」などと形容されるように、
現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより、
自分自身の認知行動を把握することができる能力である。
メタ認知的知識とは、自分自身の状態を判断するための知識を指す。
(2019.7.9 Wikipediaより引用)
要するに、
先程のセルフトークのための取り組みをすると、
メタ認知能力(客観的に自分をみる能力)が高まるんですね。
メタ認知とパフォーマンスの関係を調べた研究は結構あって
有名なものがこちらですね。↓
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3366894/
『学生メタ認知の促進』
この研究では、
メタ認知能力を高めた学生の
学習効率が格段に上がった
という結果が報告されています。
そんなわけで、
今回のセルフトーク活用術は
運動だけじゃなくて
仕事や学習にも使うことが出来る
と考えられるわけですね。
皆さんも是非活用してみてください。