怒りの感情をコントロールするリアプレイザルとは?【アンガーマネジメントのすすめ】

 

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皆さんは日頃身の回りで怒りを感じることはありますか?

 

実は『怒り』という感情は、私達のストレスや認知能力、集中力や判断力などと大きな関係があり、科学的にも認知行動療法の分野でも注目を集めています。最近では中田敦彦さんが「アンガーマネジメント」の動画を出されるなど、ますます注目が集まっていると言えるでしょう。


【アンガーマネジメント①】怒りで失敗しないために今最も必要なスキル

今回は怒りという感情の性質と、怒りに振り回されて自分の人生を不幸にしてしまわないための『リアプレイザル(認知的再評価)』というテクニックについて紹介します。

 

この記事の内容

・怒りの持つ様々な性質

・リアプレイザルとは?

・怒りの感情と上手に付き合おう

 

 <怒りの持つ様々な性質>

基本的に『怒り』の感情が湧き上がっているときは、判断力が正常でなくなっていることはイメージしやすいでしょう。また、怒りの感情がある状態では対人的コミュニケーション能力が大幅に下がります。自分が怒りを表さないでおこうと思っても、周りの人間はそれを読み取ってしまい、良好なコミュニケーションが取れなくなってしまうんですね。怒りや劣等感を特定のモチベーションに変えることはいくつかの研究で報告されていますが、少なくとも良好関係を築こうと言いう場面において、怒りが有効に働く場面というのはほぼ無いと言っていいでしょう。(『怒った振り』が有効な場面はあると思いますが)

 

ではこの怒りにどう対処すればいいのかという話ですが、実はこの『怒り』、結構対処が難しいんですよね。例えば怒りの感情を無理に押さえつけようとした場合、ポジティブな感情が減少、不安が増大、緊張が高まることが分かっています。一時的な感情の押さえつけは、長期的に見ると心に大きな負担をかけてしまうんですね。ではその怒りに任せて行動して発散するという行動が正解なのかと言うと、『怒りに任せた行動は、その怒りを増幅させてしまう』ということも報告されています。これは子供が自分の泣き声に反応して、一層泣きじゃくってしまう現象を思い浮かべるといいでしょう。

 

そんな訳で

・怒りを押さえつけてはいけない

・怒りに任せて行動してはいけない

という八方塞がりな状況ですが、対処法が無いわけではありません。怒りとは感情であり、人間の感情の波は長時間は持続しないという性質があります。また『怒り』の状態は人間の脳の認知機能のリソースを大幅に使う必要があります。つまり、怒りが湧いた場合、『とりあえず数分間、頭を使う作業に没頭する』ことが出来ればその怒りの波は穏やかになり、ある程度客観的に自分の状態を認識できる状態まで落ち着くことが出来ます。

 

例として…

SNSなどで酷いコメントを書かれてカッとなってしまった場合、すぐに怒りに任せて返信するのではなく、パズルゲームなどに数分間集中することで怒りを収め、冷静になってから考え直すのがいいでしょう。出来るだけ頭を使って集中できるゲームアプリを一つ、スマホに入れておくといいですね。

 

 <リアプレイザルとは?>

とはいえ怒りを感じたときにいつもゲームを始められるシチュエーションにあるとは限りません。むしろ怒りを感じる状況というのは、関係者や当事者が目の前にいることのほうが多いでしょう。そこで今回のテーマ、『リアプレイザル』の登場です。

 

リアプレイザルはReappraisalと書き「Re(再び)」「ppraisal評価する」つまり再評価の意味です。これは脳神経科学的に有効とされているストレス解消法や感情コントロールの手段で、2014年にコロンビア大学から出された論文に詳しく提起されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23765157/

これによるとリアプレイザルは『外部からの刺激に対するモノの捉え方を変える感情制限戦略であり、これによって感情的なインパクトを変えることが出来る』とされています。怒りに対して使うことで、その怒りを捉え直し逸らすことが出来るということです。

 

一応この里アプレイザルは以前に紹介した本でもストレス解消のための手段として紹介されていました。合わせて勉強しておきたいですね。

 リアプレイザルの例として

・嫌なことがあった→これは自分を成長させてくれるチャンスだ

・相手の態度が悪い→相手にも何か嫌なことがあったに違いない

・全然うまく行かない一日だった→体が休息を求めていたのかも…ゆっくり休もう

といった感じで、原因を再評価してみるという方法です。もちろんこれは自分がそう捉え直しているだけで、真実である必要はありません。

 

カッとなって怒りに身を任せそうになったときは一度思い立って、怒りの原因を無理やり再評価してみましょう。衝動的な怒りを抑え、客観的に判断できる状態にコンディションを戻してくれます

 

<感情のごまかしをやりすぎるのも危険>

とはいえこのリアプレイザルもメリットばかりではありません。言ってしまえばこれは怒りの原因をごまかしているのに近いので、いつもこうやって怒りを反らしてばかりだと、それはそれで精神に良くない面もあります。

『リアプレイザルが有効に働かない場合』

https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797616669086

こちらの研究では、「自分の力では同しようもないことに対する怒りに対してリアプレイザルは有効だが、自分の力でどうにかできる怒りに対して使うと、返って不幸になる」ということが報告されています。

 

自分の感情と向き合うべきときにはリアプレイザルを使ってはいけないようですね。衝動的な怒りが込み上げた場合の応急措置としてリアプレイザルを使い、後ほどもその怒りが込み上げてくるようならしっかりと向き合って怒りの原因を見据え、対策しましょう。この辺りの対策が必要な人は以前の記事を参考にしてみてください。

www.maru-rin.com

 

<怒りの感情と上手に向き合おう>

そんな訳で良好な関係を作りたい相手と関わる場面で怒りに囚われそうになったら。

・没頭できるゲームで4~5分遊んでみる

・瞬間的、衝動的な怒りにはリアプレイザルで再評価し、怒りを逸らす

ということを試してみてください。感情をコントロールしすぎるのも大変ですが、メンタルを強くして自分の感情に振り回されないようにしたほうが、幸せな人生が送れると思います。

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