仕事が捗るエアコンの温度(室温と仕事効率の科学)

 

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<エアコンの設定温度>

皆さんはエアコンの設定温度は何度にしていますか?

夏場に兵庫県姫路市が、

「市役所で冷房時の室内温度を25度に設定したところ、

残業時間を約14%減らせた」

という結果を発表して話題になっていましたが、

 

仕事の効率を上げるには何度に合わせておくといいのでしょうか。

そんな訳で今回は

オフィスや室内の適切な温度は?

というお話です。

 

<室温と仕事効率の研究>

室温と仕事の効率を調べた研究で最も有名なのが、

このコーネル大学の研究なようです。

http://news.cornell.edu/stories/2004/10/warm-offices-linked-fewer-typing-errors-higher-productivity

発表:2004年

対象:保険会社で働く女性

方法:室内温度を摂氏20度から25度に上げて測定タイピングの成果を測定

結果:室温を25度に上げた場合

 ・タイピングエラーが44%減少

 ・タイピング出力は150%増加した

単純作業だと20度より25度のほうがミスが減って効率的になったようです。

 

 

適切な温度設定は生産性に大きな影響を与える

ということを強く示していますね。

 

これについては過去にアメリカの研究者が

「室温をはじめとする屋内環境を改善すると、

 0.5%~5%もの生産性向上に直結する」

と言っていたことを強く肯定できる内容ですね。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/j.1600-0668.1997.t01-1-00002.x

 

 

ただしこの研究は

・全員が女性

・段階的に測定したわけではない

・サンプル数が不明

であることを知っておきましょう。

25度がすべての仕事に対して適温なのかは不明です。

女性は男性よりも平均で2~3度ほど寒さに弱いという点も、

留意しておく必要があるでしょう。

 

<エアコンの有無と認知能力の研究>

エアコンのない部屋とある部屋で学生の認知能力がどう変わるのか調べた研究もあります。

https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1002605

機関:ハーバード公衆衛生大学院

発表:2018年

対象:ボストンに住む44人の学生

期間:2016年7月9日~7月20日(12日間)

内容:2つの寮に分けて認知テストを行う

 ・エアコンのない寮(20人)

 ・エアコンのある寮(24人)

結果:エアコンのない寮の学生は

   熱波が到来した時や、その後の冷え込みの時期に、

   認知スコアが約13%低下した。

 

室温が21~25度に保たれていたエアコンありの学生は、

パフォーマンスがある程度保たれていたようなんですね。

温度が高過ぎても低過ぎても駄目ということです。

ちなみにこのボストンですが、

亜寒帯湿潤気候で日本の北海道と同じくらいの気候です。

 

<結局適温は何度?>

それでは実際の適温を調べた研究ですが、

ロンドン大学の研究所から出ている

22度~24度

が一番信用できそうです。

 

代表的な研究は

https://indoor.lbl.gov/sites/all/files/lbnl-60946.pdf

発表:2006年

対象:文章処理・顧客対応・単純計算を行うオフィスワーカー

結果

・最もパフォーマンスが高いのは22度

・30度だとパフォーマンスは8.9%低下した

・25~32度の間では1度ごとにパフォーマンスが2%低下

・21~25度の間では温度変化によるパフォーマンス変化はなかった

 

最後の部分がコーネル大学の結果とは違いますが、

季節や湿度によっても変わってきますから、

これを考慮すれば矛盾しない結果だと言えます。

 

<作業内容によって違う最適温度>

 

さて、作業内容によっても適温が変わってくると言われています。

 

クリエイティブな作業

デンマーク大学のDavid P Wyon教授によれば、

創造力が必要な仕事は体感が比較的温かい場合で効率化されるようです。

仕事で言えばデザイナー・芸術家・作家など

学生の勉強で言えば英作文や小論文問題などですね

 

反復作業や単純作業

シンガポール大学のHenry Cahyadi Willem教授によれば、

単純作業の設定温度は少し低めがいいそうです。

室温が27度を越えてしまうと計算速度に大きな影響が出てしまいます。

 

協力しながら進める必要のある作業

チルバーグ大学のHans IJzerman教授は

複数が共同で作業を進める場合は少し高めの気温がいい

という研究結果を発表しています。

 

<個人差の大きい体感温度>

結局オフィスや室内で仕事をするなら、

22~24度あたりが有力で、

作業内容体感温度によって変化させていけるのが理想ですね。

 

繰り返しになりますが、

マーストリヒト大学メディカルセンターの調査では、

『女性は男性よりも基礎代謝が低い傾向にあるため、寒さを感じやすい』

という結果が出ており

『快適に感じるためには室温を3度高く設定するといい』

と言われています。

自分にあった最適温度を心がけたいですね。

 

 
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