ポジティブ思考の罠を回避して使いこなそう【メリット・デメリットまとめ】

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<本当は怖いポジティブ思考>

以前計画の立て方の話の中で

ポジティブ思考(ポジティブシンキング)の危険性について紹介したことがあります。

 

物事を楽観的に考えすぎることで、

正確な判断ができなくなるということでしたね。

 

今回は

ポジティブ思考の危険性と正しい使い方

について紹介したいと思います。

 

<ポジティブ思考って何?>

「前向き思考」とか「引き寄せの法則」とか、色んな意味で使われることが多いポジティブシ思考ですが、まずは本来の言葉の意味を確認しておきましょう。

 

積極思考(せっきょくしこう、positive thinking ポジティブ・シンキング)は、なんでも前向きに物事を考えればそれは実現し、人生はうまくいく、という考え方、物事の良い面を見ようと努め、ポジティブな姿勢を保ち、「思考そのもの」を変えることで現実を変えることを目指す思考法である。ポジティブな思考はポジティブな現実を、ネガティブな思考はネガティブな現実をもたらすとされる。引き寄せの法則、精神科学、実践的キリスト教、心の科学、実用的形而上学、神の科学とも。     【Wikipediaより引用】

 

言葉としては、

「積極思考」

という言葉が正しいようなのですがあまりにも使い慣れないので、

この記事では「ポジティブ思考」を使うことにしますね。

この思考の基本構造は

・何でも前向きに考えればそれは実現する。

・積極的な思考は積極的な現実をもたらす。

・消極的な思考は消極的な現実をもたらす。

前向きな考え方がどうこうではなく、

事象の捉え方によってそれが現実になるということですね。

だからこそ、前向きに考えることを推進するわけです。

 

<ポジティブ思考が良い結果をもたらす?>

ポジティブの考え方に対する賛否は置いておいて、

(今回はそういう話ではないので)

心や思考が現実の健康や経済状況に影響を与えるというのは、

哲学や宗教以外のスポーツ科学や医学の分野に対しても大切な考え方です。

 

まず知っておいたほうがいい人間の性質として、

・ポジティブな感情を持った時に新しいことに挑戦するようになる。

・ネガティブな感情を持った時に今までと同じことをしようとする。

というのがあります。

 

 

ポジティブな思考が

新しいことに挑戦する後押しをしてくれるなら

それによって成功を掴む人が出てくるのは

納得の行く流れと言えるかもしれません。

 

<ポジティブ思考と心理学>

ポジティブ思考の考え方は科学的にはまだ証明されていないため、

「ポップ心理学」

などと言われて、科学的な心理学とは全くの別物とされています。

科学的な学問としては

「ポジティブ心理学」

という心理学の分野があります。

ポジティブ心理学英語positive psychology)とは個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学の一分野である。精神疾患を治すことよりも、通常の人生をより充実したものにするための研究がなされている。

こちらは科学的な手順によって研究されている学問でして、

オリバーバークマンという研究者の方が、著書によってポジティブ思考(ポップ心理学)を真っ向から否定しいるものまであります。

 

 

科学的に「前向きな考え方」の力を得るには、

ポジティブ思考ではなくポジティブ心理学を勉強すべきでしょう。

 

もちろんまだ証明されていないとはいえ、

多くの人がポジティブ思考の考え方に価値を見出しているのは事実でしょう。

ただし、この考え方が私達にどのような影響を与えるかについては、

いくつかの研究が報告されているのです。

ポジティブ思考を盲信している方には必要ないかもしれませんが、

科学を愛する人にとってはポジティブ思考が人間に与える影響を知っておいて損はないはずです。

 

<ポジティブ思考と認知能力>

まずポジティブ思考では、特定の状況下では認知力が低下することが分かっています。

人間にはそもそも認知バイアスと呼ばれる思考の偏りを持っています。

「ダニングクルーガー効果」

って聞いたことはありませんか?

これによると、

・能力の低いものは自分を高く評価する

・能力の高いものは自分を低く評価する

という事が分かっています。

能力の低いものは自分に対する過大評価のせいで、

先のことを見通す判断力が低下してしまうのです。

 

これが原因であると思われる研究結果は非常にたくさんあって

ポジティブ思考だとダイエットは成功しない

ポジティブ思考では異性にモテない

ポジティブ思考では成績は上がらない

など数多く報告されています。

興味のある論文をチェックしてみると面白いですよ。

 

 

つまり

あなたが誰よりも能力が高く優秀で才能あふれる人物でない限り、

正確な判断が必要な場合は、

積極思考は使わないほうがいい

ということになります。

 

2002年のニューヨーク大学の研究では、

学生に自分の未来に対するイメージを

4つのパターンで想像させ、

2年後に社会的に成功しているかどうかを調べたものがあります。

①ポジティブな予想

②ポジティブな空想

③ネガティブな予想

④ネガティブな空想

空想は頭の中だけにあるのもで、

予想は体験に基づいたものです。

その結果、社会的成功を掴み取っていたのは

①ポジティブな予想

②ネガティブな予想

③ポジティブな空想

④ネガティブな空想

の順番になっていたようです。

 

やはり

空想ではなく

正確な判断に基づいた予想が大切

であるということですね。

 

 

<ポジティブな想像がもたらす影響>

「引き寄せの法則」 が書かれている著書によくあるもので、

「自分の理想の姿を思い浮かべましょう」

というものがあります。

自分の目指すべき姿を思い浮かべておけば、

行動が自ずとその姿に向けて変わっていくということですね。

目指す姿を内側に持つようにすれば、

普段気づかなかった大きなチャンスに気づくことも出来るようになりますし、

今までと違った行動を取るきっかけにもなりそうで、

一理あるように思えます。

しかし、

この行動がもたらすデメリット

についてもしっかり知っておく必要があります。

 

このポジティブな想像のもたらすデメリットについて述べた有名な著書に

「WOOPの法則」というものがあります。

 

この著書にはポジティブ思考がもたらす影響を述べており、

有名な実験も紹介しています。

 

<ポジティブ思考とリラックス効果>

被験者となる女性たちに「素敵なハイヒールを履いているところをイメージしてください」と伝え、AとBのグループに分ける。

Aグループに「自分とハイヒールに関するポジティブな想像をしてください」

Bグループに「自分とハイヒールに関するネガティブな想像をしてください」

と伝え、血圧を測る。

結果、Aチームは最高血圧が下がった。

 

このことから、

ポジティブな想像はリラックス効果があるため

人の行動力を奪ってしまう

ということをいっています。

 

ポジティブ思考で得られるリラックス効果を

実際の達成感だと脳が勘違いしてしまう

 

 

ということが問題なんですね。

 

ジムに通いだしただけでダイエットが成功したような気分になってしまって、

その時はいい気分になるけど全然運動しなくなる

なんてのがこのパターンですね。

 

WOOPの法則とは

・ポジティブ思考を捨てて理想と現実のギャップに注目すべき

・夢を見るだけじゃ満足せずにそれを叶えるための行動が大事

と覚えておきましょう。

 

 

<ポジティブな感情を追うことの危険性>

 現実とのギャップから目を逸らすことの危険性も指摘されています。

特にネガティブな人が自分の負の感情をポジティブ思考で押さえつけて蓋をしてしまうと、うつ病などにかる危険性があります。

『ポジティブ思考は一部の人には力になるが他の人には危険』

こちらの研究では、

ネガティブな感情が生まれた時にポジティブな感情で押さえつける行為は

・根っからのポジティブ思考の人間には有効

・それ以外の人にとっては精神的に有害

であることが示されています。

しろくまのリバウンド効果なんて言われることもありますが、

無理やりポジティブな自己暗示を与えても、

現実とのギャップに苦しめられてしまい、

目標達成率や精神的安定性が下がってしまうようです。

 

根っからのポジティブな人というのはほんの一握りの人ですから、

ネガティブな感情を抑え込むのはほうが良さそうです。

 

ポジティブな感情もネガティブな感情も、

どちらも自分にとって必要なものです。

大切なのは自分の感情と上手く付き合っていく方法であって、

ごまかすことではないんですね。

 

 

<ポジティブで成功する方法>

それではポジティブな思考は全て失敗につながるのかと言うともちろん違います。

先程述べましたがポジティブな感情は

新しい行動を後押しする

のに使えます。

人生で成功するパターンとして、

ネガティブで成功する人

ポジティブで成功する人

の2つに分けられるという論文があります。

https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0146167296224003

ここで紹介された成功者の2つのパターンは

DP(防衛的フェシミスト)とSO(戦略的オプテミスト)です。

 

・防衛的フェシミスト

フェシミストは「悲観的な人」という意味ですね。

このタイプの人は

「今回は成功したけど次は失敗するかも」

と、先の見通しをネガティブに考えます。

未来の失敗の危険性を加味して周到な準備を整えることで、

失敗する確率は下がり、結果成功するわけです。

 

・戦略的オプテミスト

オプテミストとは「楽観的な人」ですね。

今回の話で参考にすべきはこちらのケースと言えそうです。

このタイプの人は

「次も上手くいくだろう」と判断しますが、

戦略的オプテミストは

失敗を恐れずに回数を試します

しかもポジティブ思考で新しいことを試す積極性がブーストされているため、

色んなアプローチで試行錯誤しながら圧倒的な回数を試すことになり、

結果成功を掴むというわけです。

 

 <まとめ>

如何だったでしょうか、

ポジティブ思考推進派の人でも少なくとも

ポジティブ思考は万能ではない

ことは認めてもらえたのではないでしょうか。

 

 ポジティブな感情のメリット・デメリットを使いこなして、

よりよい人生を目指していきましょう。

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