「牛乳は体に悪い」はホント?【知っておくべき乳製品のリスクとは】

 

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<乳製品は危険?>

最近最近牛乳や乳製品に対するリスクを発信する情報源が増えてきました。

そういえばこのブログでもチーズやヨーグルトに関しては取り上げできましたが、

牛乳や乳製品全体に関してどのくらい気をつけておいた方がいいのか

ということについてはまだ取り上げていませんでした。

今回は

・牛乳や乳製品のリスク

・乳製品と健康に関する論文や報告

・どのくらい気をつけるべきなの?

について考えたいと思います。

 

<牛乳が体に悪いと言われる理由>

まず牛乳(乳製品)が体に悪いと言われる原因は主に3点です。

アレルギーに関するものを加えてもいいのですが、

どの食品もアレルギーリスクはあるわけですから今回は外しておきましょう。

 

①牛乳は日本人の体質に合っていない

 そもそも日本人は千年以上乳製品を飲まずに暮らしてきました

(全く飲まなかったわけではありませんが、非常に少数派)

はるか昔に特定の乳製品を飲む文化はあったようなのですが、

次第に飲まれなくなり今では製法すら完全に失われています。

 

日本人の体質に合わないから飲まなくなったのか

飲まずにいた歴史が長すぎるため牛乳を飲むのに適さない体質になったのか

諸説ありますが、

現実問題として

牛乳が体質に合わない日本人は多い

です。

 

これは

乳糖不耐性

と言って、

動物の乳に含まれている乳糖(ラクトース)を分解できないことによって消化不良を起起こしてしまうというものです。

母乳にも当然ラクトースは含まれていますので、

誰もが赤ちゃんの時には乳糖を分解するラクターゼというものを体内で生成しています。

ところが大人になるにつれこのラクターゼが体内で作られなくなっていくわけです。

そのため成人してから牛乳を飲むとお腹を壊すようになったり、

老化で免疫力や消化能力が下がってきたタイミングで牛乳を飲むと、

下痢を起こしたりするというようなケースが報告されています 。

 

逆に何千年にもわたって乳製品を取り続けてきた外国では9割以上の人間が牛乳を飲んでも体調不良を起こさない地域もあります。

日本人全ての体に合っていないわけではないですが、

日本人は牛乳と相性が悪い人がかなり多いということを覚えておきましょう。

 

②乳製品の健康リスク

そもそも牛乳や乳製品による健康効果と健康リスクについては、

日本以外でも度々話題にされています。

信憑性の高いものとして、

乳製品と健康リスクについて調べた最近の大掛かりな研究としては、

『乳製品と死亡リスクの相関及びメタ分析』

というものがあります。

こちらについてはヨーグルトの話でも以前に取り上げましたね。

 

これによると

・全ての乳製品は死亡率2%の低下と相関がある

・乳製品は脳梗塞や脳出血のリスク4%の低下と相関がある

・牛乳は脳梗塞や脳出血のリスク7%の低下と相関がある

と、世界的に見れば乳製品の健康効果はある程度評価されているといえます。

ただし、

・牛乳に関しては心疾患のリスクを4%上げる

というメタ分析(12の観察研究63万人分のデータ)が出ています。

ただし、

『牛乳は心疾患のリスクと相関しない』

という別のメタ分析(29の観察研究93万人分のデータ)も出ていますので、

この辺りについてはまだまだ未知の部分がありそうです。

 

とはいえこの報告では、

・乳製品の健康効果を考えるなら公的なガイドラインは厳しすぎる

・牛乳の摂り過ぎは心疾患リスクを上げる可能性はあるが、適度な量であれば健康にいい

と結論付けられています。

どうやら牛乳に含まれている飽和脂肪酸が疾患リスクを上げるんじゃないかと考えられているようですね。

 

総合的に見れば、

体質が合わない人や苦手な人は無理して飲む必要はないが、

基本的には健康に良いものという認識は間違っていない

と言えそうです。

ただし、先程述べたリスクも含めて

牛乳自体の飲み過ぎは避けたほうがいい

と言えそうですね。

 

1日に1~2杯程度なら問題はないんじゃないでしょうか。

とはいえ牛乳を飲むなら質のいいものを選ぶ必要がありそうです。

 

③市場の牛乳の質が悪い

これは日本で飼育されている乳牛はつなぎ牛舎で育成されているため、

健康状態が非常に悪いという指摘です。

餌に関しても遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆が使われているため、

栄養状態が非常に悪い牛乳が市場に出回っているというものですね。

また、妊娠中の乳牛から乳を絞るので、牛乳内のホルモンバランスがかなり崩れているという指摘もあります。

不健康な牛から取れた牛乳は当然不健康であるというもの。

この見解を示している人の多くはオーガニックの牛乳、

質の良い牛乳を嗜好品として飲むことを勧められます。

 
実際広い牧場で乳牛がのびのびと育てられている場所というのは

日本ではあまり見られませんからね。

指摘としては最もじゃないかなと思います。

私自身も牛乳を飲む時はある程度高くても嗜好品として質のいいものを選ぶように心がけています。

 

ただこの質の良いという話に関してもオーガニックならいいのかという疑問はついて回ります。

オーガニックの牛乳と普通の牛乳の栄養価を調べた研究というものがありましたので紹介しておきます。

 

『有機及び従来の酪農場での管理慣行の比較』
これはオレゴン州立大学の実験でアメリカ内の300の牧場の協力を持って調べたものです。

・オーガニック系の牧場が192

・普通の牧場が100

5年の調査期間をかけて全ての牧場を調べ、

牛の健康状態や病気の発症率衛生状態などをチェックしたそうです。

その結果

 

普通の牛乳もオーガニックの牛乳も

栄養価はほぼ同じ

であることがわかりました

 

なんとなく

オーガニックの乳製品はビタミンが豊富だとか

良質な脂肪が多いなど

言われているんですけれどこの結果はなかなかの衝撃だったと思います。

 

他にもオーガニックミルクに不利な内容としては

 

・オーガニックで育った牛は普通の牛に比べて牛乳の量が4割ほど少ない

・抗生物質を使わないのでオーガニックの牧場にはバクテリアが残っていることが多い

 

ということも報告されています。

 

そんなわけで良質な環境で育てられた乳牛の牛乳なら栄養価が高いと安心するのも危険だということを覚えておきましょう。

 

④栄養バランスの問題

栄養価の話で言えば、

 「カルシウムをしっかり取るために牛乳を飲もう」

なんて話をたまに聞きますが、

これには落とし穴があります。

それはカルシウムを体に吸収するためにはミネラルのバランスが大事だということ。

カルシウムとマグネシウムのバランスが2対1の割合がベストとされていますが、

牛乳はカルシウム10に対してマグネシウムが1という非常にアンバランスな栄養価となっています。

 

食品成分データベースで調べたところ

牛乳100gあたりの値は

カルシウム  110mg

マグネシウム  10mg

となっていました。

これは確かにアンバランスですね。

 

カルシウムを摂りすぎると動脈硬化や腎結石につながるリスクがありますので、

マグネシウムカルシウムをバランスよくとることが必要なんですが、

現代人はマグネシウムが不足しがちなんですよね。

栄養バランスという点で牛乳に関しては飲み過ぎは良くないよということが指摘されています。

 

ちなみに日本人が昔から取ってきたミネラル源である大豆やほうれん草しらすなどはカルシウムとマグネシウムの割合が非常にバランス良くできています

 

ただしこの問題に関しては、

他の食品で栄養バランスを整えることで解決できる問題です。

骨を丈夫にするために乳製品を食べさせたり牛乳を飲ませたりされている親御さんはマグネシウムもしっかり摂らせてあげてください。

例えば先日紹介したカシューナッツなんかは、

ナッツ類の中でも特にマグネシウムの割合がとても多く、

カルシウムの吸収を助ける亜鉛を多く含むので、

牛乳や乳製品との相性は抜群でおやつに最適です。 

 

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<牛乳によるメリットの研究>

最近ではマイナス面にスポットがあたりがちな乳製品ですが、

メリットに関しても結構報告されていたりします。

新しめのものでは

牛乳をよく飲む人は脳の酸化ストレスが少ない

乳脂肪の酪酸はリーキーガットを予防する

牛乳をよく飲む人は糖尿病リスクが6割低い

など、

牛乳の持つ健康効果に関する最新の研究についても、

広く知られるようになって欲しいですね。

 

<まとめ>

牛乳・乳製品に関しては

好きな人は我慢するほどではない

苦手な人が頑張って飲むほどではない

 

基本的には健康にいいが

・栄養バランスを意識したほうがいい

・自分の乳糖への耐性を意識する必要はある

・牛乳の飲み過ぎは止めたほうがいい

・牛乳を飲むなら質の良いものを探す

 

私としては牛乳はたまの嗜好品として楽しみ、

基本的にはナチュラルチーズや豆乳から栄養を摂るようにしています。

乳製品を過度に怖がるのではなく、

自分に合った付き合い方をしていきたいですね。

 

<追伸>

数日後に牛乳と乳がんの研究が発表されていたので記事にしました。

私の基本スタンスを変えるものではありませんでしたが、

気になる方はどうぞ。

www.maru-rin.com

 

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