乳製品と乳がんについての最新研究【牛乳に関する懸念】
<牛乳と乳がんについての最新研究>
先日牛乳の危険性について記事にしたばかりですが、
つい先日牛乳と乳がんの関係を示す報告があったので紹介しておきます。
なんでも
牛乳を少しでも飲んでいると乳がんのリスクが上がる!
たくさん飲んでいる人はリスクが80%も高まる!
とのことで、
話題にしている人もチラホラ見られますね。
ただ私はこの研究のソース元を読んだ時に
「これは別に牛乳を否定する内容じゃないよね…」
と思ってしまったので、
今回の記事はやや牛乳擁護側の意見に聞こえるかもしれません。
<牛乳とがん>
牛乳自体は栄養価が高い反面、
色んなリスクを含んでいる食品ですので、
私自身も積極的には飲んでいません。
詳しくは以前の記事をどうぞ。
がんと乳製品の関係については、
今回のように示唆される報告はあるものの、
関連性を示す証拠は見つかっていません。
基本的にがんの原因は複合的なもの
ですので、一概にこれが原因とは言えません。
また、特定栄養素の過剰摂取によってリスクが高まる
ので、食品の選別以外にも正しい摂取量の見極めが必要になってきます。
<乳がんリスクを調べた最新の研究>
発表:2020年2月25日
機関:ロマリンダ大学 ゲーリー・フレーザー博士
対象:乳がんの経験がない北米人女性 52795人 平均年齢57.1歳
期間:8年弱追跡
この研究論文を取り上げる記事はやたらと
「牛乳と乳がんを結びつける証拠が見つかった!」
をアピールしてますが、
乳製品や豆乳との関係も調べた研究ですからね。
ソーズ元をちゃんと書いてない記事が多いのも「う~ん」と言ったところ。
結果
・乳製品や豆乳と乳がんの間に明確な関連性は見つからなかった
・豆乳に乳がん抑制効果はない
・牛乳の摂取量が多いほど乳がんリスクは高くなった
1/4~1/3杯の牛乳の摂取 リスクが30%増加
1杯の牛乳の摂取 リスクが50%増加
2~3杯の牛乳の摂取 リスクが70~80%増加
結論
・乳製品とがんリスクについては今後一層の研究が必要
・牛乳の消費に関する現在の(米国の)ガイドラインは見直す必要があるかもしれない
牛乳を飲まない人の乳がん発生率が50人に1人
牛乳を大量に飲む人の乳がん発生率が50人に1.8人
摂取量でここまで差が出たのはかなり凄いと言えるでしょう。
ただ、この研究報告が「明らかな関連性は見つからなかった」と言っているように、
がんの原因は複合的です。
フレーザー博士はこの研究で「乳製品には高い栄養価があるがバランスをとる必要がある」としています。
結論部分からも分かるように、
アメリカのガイドラインでは牛乳は1日に3杯飲むことが推奨されてるんですね。
それに対してカナダでは2019年にガイドラインが更新され、牛乳は強調されなくなりました。そういう流れがあります。
つまり今回の報告の本質は
牛乳のリスクを示唆するもの
ではなく
牛乳の適切な摂取量に対する見直しを求めるもの
と取るのが正解なんじゃないでしょうか?
牛乳自体は栄養価が高いとは言え、
マグネシウムとカルシウムのバランスが悪かったり、
残留ホルモンの多さが問題になったりしています。
気になる人は1日に1杯くらいにしておいた方がいいでしょう。
データ量は多くある程度はっきりとした数字の差ですのでインパクトは強いですが、
過度に乳製品を恐れるのではなく、
リスクとメリットを冷静に考えていきたいですね。