娯楽が退屈を生む『退屈のパラドックス』とは

 

f:id:marumenm18:20200608152805p:plain

<退屈のパラドクス>

日本でも外出自粛があり、世界的にも人々の生活形態に変化が出てきたことで、娯楽に対する考え方を見直す動きが出てきています。今回紹介するのは「娯楽がない方が退屈を感じなくて済む」という興味深い調査報告です。退屈を紛らわすための娯楽で退屈になる…何となく以前に紹介した「退屈が創造力を高める」という話に繋がるものを感じますね。

www.maru-rin.com

 

<カナダの研究>

『退屈のパラドックス』

発表:ウォータールー大学

対象:大学生228人

調査によると典型的な高校生は平均して1日の36%を退屈しながら過ごしており、北米の青少年の91%は「退屈を経験している」と報告しています。とはいえ退屈とはあいまいなもの、今回は認知神経科学のストラック氏が大学生を対象に実験を行いました。

内容:

1.学生に「部屋に入ったら椅子に座って何もせず、頭の中で考え事をして過ごすように」と指示し、①退屈を紛らわせるものが置いてある部屋、②最低限のものだけが置いてある部屋、の2つに学生を分けて入室させる。

 

2.入室後その部屋で15分過ごす。指示に従わなかった参加者は実験結果から除外される

 

3.実験後、「どれだけ退屈だったか」を回答してもらう

 

結果:

・①の部屋に入ったものの方が退屈を感じる割合が優位に多かった。

・「何もせず過ごすように」という指示を破った学生の割合も、【①25%②15%】と①の部屋に入った場合のほうが多かった。

 

娯楽のある部屋に入った学生は退屈を感じやすく、何もせずにいることに抵抗を感じる

という結果が出てしまったというわけです。

 

<娯楽が退屈を生むメカニズム>

ストラック氏の分析によると、今回のような結果が生まれる原因は『機会費用』という概念が関わってくるようです。機会費用というのは、複数ある選択の中で最も利益を産む選択をしたときに、それ以外の選択肢との差を表す概念です。

②の部屋にはそもそも暇を潰せるものがないため、「何もせずに過ごす」と「なにかして過ごす(ルールを破る)」の間に大きな差はありませんが、①の部屋には娯楽がたくさんあるため、何もしなかったときの損失が大きくなると感じてしまうのです。

 

目の前に娯楽があると退屈を強く意識してしまう

ということですね。

 

今回は以上です。娯楽から切り離されて、何もしない時間をのんびり味わえるくらいの余裕を作りたいものですね。

 

お問い合わせ  プライバシーポリシー