悪態をつくだけで痛みが和らぐ?【悪口と痛み耐性】
<痛い思いをしたときに「クソ!」という人>
うっかり熱いものに触れてしまったり、家具の角に足をぶつけてしまったりしたときに、「クソッ」などとつぶやく人がたまにいますよね。私としてはそういう人は「あまりイメージが良くないなあ」と思っていたんですが、『汚い言葉を呟くことは、痛みを和らげる効果がある』という報告があったので取り上げてみました。真似してみるかどうかは置いておいて、興味深い研究を見ていきましょう。
<悪口の鎮痛効果>
悪口と痛みに関する研究の第一人者と言われるキール大学のリチャードスティーブン氏は2009年に、『氷水に手を浸した人は悪態をつくことで痛みを軽減し、より強い痛みに耐えられるようになる』ことを報告しました。
その後のスティーブン氏の研究では、『普段悪口を言わない人が悪態をついたほうが鎮痛作用は大きい』という事も分かり、日本人を対象とした実験(このときの悪口には「クソッ」という単語が使われました)でも同様の結果が見られました。ポイントとしては、架空の悪口ワードでは鎮痛効果が見られなかった点で、その言葉の意味をちゃんとわかっている場合のみ、鎮痛効果が認められたのです。
<鎮痛作用が起こるメカニズム>
一体なぜこのような現象が起きるのかについては不明な点が多く、いくつかの仮説が立てられている段階です。
・通常使わないような禁止ワードを使うことでアドレナリンが分泌されるから
・ストレスを受けた後に悪態をつくことで脳がリラックスするため
などの仮説が有力だとされていますが、まだまだ研究段階です。人間の体に関する仕組みは今でも謎がいっぱいですね。
今回は以上です。
皆の前で悪態をつくことは印象が悪いですが、耐え難い痛みに耐えなければいけない場合は使ってみてもいいと思います。