便秘対策について、メンタリストDaiGoさんへのお医者さんからの指摘(科学的に正しいってどういうこと?)
<便秘対策と科学的な正しさ>
今日は便秘対策の話…ではなく、
メンタリストDaiGoさんがアップされた動画をめぐる批判と、
科学的に正しいってどういうことかという話です。
メンタリストDaiGoさんのファンの方は読まれないほうがいいかもしれません。
ちなみに個人的にはメンタリストDaiGoさんは好きです。
トレンドを読む力が凄くて本当に参考になります。
でも、間違った内容や誇張表現でちょっとな…
ってものは結構あって、
その場合はちゃんと指摘・批判するようにしています。
最近だと風邪予防の話とかですね。
批判的思考を失ってはいけませんからね。
アンチでもなければファンでもないというスタンスです。
今回DaiGoさんが特別変なことを言ったとは思いませんが、
その批判について思うことはあったので取り上げました。
<メンタリストDaiGoさんの動画>
メンタリストDaiGoさんがアップされたのは以下の内容です。
内容としては以下のような感じ
(彼は自分の動画が引用・転載されることは嫌いますが、
今回の内容に関しては影響力の大きい立場で発信したこととして
勘弁してもらいましょう)
<内容>
①前提
便秘対策は
・長期的に対策すべきもの
・1個の方法だけではなくて複合的に対策した方がいい
・食物繊維が豊富なものを摂る
・腸内細菌の餌になるものを摂る(オリゴ糖・はちみつ)
手頃で短期的な効果ではあるけど今回の内容を紹介するよ
②論文紹介
サンパウロ大学の研究
・オリーブオイルを飲んだ人の約63%の便秘が改善
・アマニ油を飲んだ人の約55%の便秘が改善
健康に害があるものではないし、試してみたらどう?
③サプリの紹介
美肌や健康に関する動画の紹介
<感想>
いつものDaiGoさんの動画ですね。
構成としては
・センセーショナルなタイトルとサムネ
・便秘対策の前提
・研究の紹介
・自分の動画の宣伝
勉強になります。
この時点で私は論文まで行ってなかったので、
「オリーブオイルの副次効果としてそういう物があるなら、
頭に入れておこう」
といった感じでした。
<サンパウロ大学の論文を検討してみる>
いつもの通り論文をチェックしてみます。
とはいえ、私は翻訳が得意というわけでもないので、
間違ってるところも多いとは思っています。
気づいた人は指摘してもらえたら嬉しいです。
さてさて
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25238699
『血液透析患者を対象とした、便秘の治療のためのオリーブ油と亜麻仁油の短期効果』
機関:サンパウロ大学
対象:血液透析を受けている患者68人
週2回以下の便通
期間:4週間
内容:
グループを3つに分け、1日4ml(小さじ1杯ぐらい)の以下の油を飲んだ。
1.ミネラルオイル
2.アマニ油
3.オリーブオイル
結果:
・オリーブオイルを飲んだ人の約63%の便秘が改善
・アマニ油を飲んだ人の約55%の便秘が改善
・副作用の報告なし
う~ん、まずこれはサンプル数が少ないですね。
1グループ約20人の4週間のみの研究…
63%と55%の差って、2~3人の違いですからね。
あと
ミネラルオイルって食べ物のイメージがないんですけど、
これって食事に使うのが一般的なんでしょうか?
工作で使うイメージなんですが・・・
比較が3パターンしかないのも気になります。
例えば水を飲むグループとかも欲しかったですね。
そして忘れてはいけないのが
これは
血液透析の患者さんを対象とした研究ですね。
主に 腎臓に問題がある人とかを対象にしてますね。
それから、
便通改善に関するメカニズムも不明
とのこと。
やはり、軽く頭に入れておけばいい程度の研究ですね。
もちろんオリーブオイルのメリットは様々に報告されているので、
試してみてもいいかも
というのはあると思います。
というのが私の判断でした。
<産業医の津田健司さんが動画を批判>
仕事と心の保健室チャンネル
DaiGoさん「成功率63%便秘を治す方法」に医者が猛反論。2つの致命的な科学的誤りとは。
この方はDaiGoさんのことが好きで動画もよく見ていたけど
今回の動画は致命的な誤りがあるということでアップされたようです。
この方が指摘されているのは
・お通じの回数は便秘の基準の一つ、
しかも週3回以下ではなくて、週2回以下
・この研究は血液透析の患者を対象としたもの
という2点です。
DaiGoさんの影響力を考えると
医者として無視できない
内容だったとのこと
なるほど
週3回お通じの人が不安を感じてしまう内容ですね
私としては
DaiGoさんの動画では結構よくあること
だったので気にしてませんでしたが、
この辺りは
科学的に正しい
を謳っているなら
軽んじてはいけない
というのはその通りだと思います。
私もその辺りいい加減になっていることが多々あります。
ちょっと反省。
便秘については
・便秘は回数だけで判断するものではない
ということをおっしゃっていて、
・医者に行けば99%治る
・病院に行けば効果があってもっと安い薬がある
ともおっしゃっていました。
DaiGoさんが紹介していた即効性のある飲料も
そんなに高いものではないですが、
まぁこの辺りはとてもお医者さんらしい意見ですね。
<外的妥当性と内的妥当性>
この動画で
津田先生が言っていたことで
内的妥当性と外的妥当性の話をされました。
内的妥当性:論文内でその理論が正しいか
外的妥当性:論文の結果を目の前の患者に適応できるのか
これらの妥当性がないものは
内容の担保にはならない
今回の場合は外的妥当性がない
ということですね。
少なくとも
患者を対象とした研究であることを告げなかったのは
外的妥当性の薄さをごまかす行為と言われても仕方がないように思います。
この点私もあやふやにしてきたことなので、
今回改めて
・科学的に何が正しいのか常に考えることの大切さ
と
・論文や研究を持ち出すときの注意点
を確認できました。
それでは