人を操る心理テクニック「影響力の武器」

<人を操る心理学>

人間が気づかずに陥っている思い込み(バイアス)の話を何回かしているのですが、
そういえばこれらの心理学的なバイアスについてちゃんと取り上げたことがなかったので
 
今回は
思い込みや心理テクニックの話の原点
 
 
『影響力の武器』から、
私達を無意識に操っている人間の心理についてお話します。
この本はメンタリストDaiGoさんが紹介して読んだんですが、
非常に面白く、内容が濃かったです。
 
ここで紹介する内容以外にも、
セールス・ビジネスに活かせる内容や、
歴史的な事例などが沢山載っており、
重厚なのに飽きさせない内容なので、
心理学に興味が湧いた人は一度読んでみるといいでしょう。
図書館などに置いてあることも多いですよ。
 

<著者と著書>

この本の著書はアリゾナ州立大学心理学部名誉教授のロバート・B・チャルディーニさん。まあアメリカを代表する社会心理学者の一人と覚えておけばいいでしょう。
 内容としては、
 
私達は判断を行う場合、自動的な反応で行動していることが多い。
この簡易反応は現代社会でとても効率がいい。
しかし、この反応は宗教活動や商業活動に悪用される危険性がある。 
 
セールスマンナンパ師、広告代理店などが、
使っているテクニックのほとんどが、
これを利用したものであったりするのです。
 
ということを述べた上で、
人間の行動を無意識に支配している6つの心理的特徴を紹介しています。
 

<人間の心理が持つ6つの特徴>

①返報性

「受けた恩は返したくなる」
 
人間は簡単な親切を受けてしまった場合、
その後のお願いを断りにくくなるんですね。
いわゆる
「ギブアンドテイク」の精神です。
 
例えば
スーパーの試食コーナーがこの心理を利用していますね。
 
セールスマンのテクニックには
「ドア・イン・ザ・フェイス」
というものがあります。
これは
最初に大きな要求を断らせることで
その後の少し小さな要求を通す
断った側には
大きな要求を断ったという負い目(借り)があるので、
次の要求を通しやすくなってしまうんですね。
 

②コミットメントと一貫性

「約束や宣言を守ろうとする」
 
社会では言うことがコロコロ変わる人は信頼されません
よって人間は一度宣言してしまったことを守ろうとしてしまいます。
これが一貫性です。
 
例をあげますと
街頭アンケートでどちらかの意見にシールを貼る程度のものを一度やってしまうと、
その後話しかけられてなにかの署名を書く流れになってしまうパターンですね。
 
人間は一度その方向性を表明(コミット)したら
それを維持する心理があるんです。
 
セールスマンのテクニック
「フット・イン・ザ・ドア」
というものがあります。
まずは簡単なお願い
(「ドアをほんの少し開けて話だけでも聞いてくれませんか?」など)
をしてイエスと言ってもらえば、
その後段々と大きなお願いをしていき、
最終的には商品を買ってもらうというものです。
 
さっきとは逆に
小さい要求を繰り返して
最終的に大きな要求を通す
というパターンですね。
 
意識していないと簡単に流されてしまいますよ。
 

③社会的証明

「周囲の動きに同調したくなる」
これは分かりやすいですね。
良くも悪くも影響は大きいです。
・赤信号みんなで渡れば怖くない
・「今大人気!」と書かれた広告
など
 
ただ、言い換えると
「みんながやっていることには何らかの価値があるのだろう」
という心理とも言えます。
例えば
 
「町中で多くの人が空を見上げていたら、
 それをみた人はほぼ同じように空を見上げる」
 
 
というものです。
 
これは心理学用語では
バンドワゴン効果
とも言われています。
普段認識しにくい厄介な効果とも言えますね。
 

④好意

「好きな人に同意したくなる」
 
これは仲のいい友人やお気に入りの店員さんに勧められたら
商品を買ってしまう心理ですね。
相手を説得したい場合、
自分の高感度を上げるのは有効な手段であると言えます。
 

⑤権威

「肩書や経験を持っている者を信頼する」
 
医者や学者の他、先輩などですね。
権威のあるものを疑わないほうが、
社会では安心してやっていけますから。
 

⑥希少性

「限られたものほど欲しくなる」
 
個数限定・季節限定・シーズン限定・会員限定など
こういった言葉に人が惹かれるのはこのためです。
広告の典型的な謳い文句ですね。
 

<操られないために>

如何でしたか?
相手を説得する時に利用できそうなものがたくさんあったと思います。
この心理的に偏った特徴を
バイアス(思い込み)というのですが、
 
どんなに賢い人でも
このバイアスにかかってしまう
 
ということが分かっています。
正確に言うと、
 
バイアスへのはまりやすさは
頭の良さとは無関係
 
どんなに優秀な成績を修めている人でも、
これには引っかかってしまうってことですね。
 
ではどうすれば
これらのテクニックに操られなくなるのか?
これらを回避することを
デバイアス

というのですが、

(以前にまとめたことがあります↓) 

 

一番シンプルで効果的な手段として、
『人間の心理には偏りがあることを知る』
 というものがあります。
 つまり先程挙げた6つの特徴について知っているだけで、
それらを認識し、引っかかりにくくなるわけです。
もし引っかかっても、気づいて今後の対策を行うことが出来ます。
そんな訳で、今後もこういった思い込みや心理テクニックについて定期的に取り上げていこうと思います。
 
 
 先程紹介しました『影響力の武器』ですが、
漫画版も出ているようなので、
手軽に読みたい人はどうぞ。
 
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