科学的に見るタバコのメリット・デメリット

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<タバコにもメリットが有る?>

4月になって改正健康増進法が施行されました。

これにより多くの屋内でタバコが吸えなくなります。

 

タバコは健康を害するもの

というのが一般的な認識で、

喫煙者に関してはますます肩身が狭くなりますね。

とはいえタバコに関しては一部のメリットが報告されているのも事実です。

 

専門家でも愛煙家や嫌煙家で主張が少し違ってくることもチラホラ…

今回は国立がん研究所の片野田耕太さんの

「本当のたばこの話をしよう」を参考に

科学的なデータからみたタバコのメリットとデメリット

について見ていきたいと思います。

私見ではこの本はかなりフェアな立場から論理を展開していると思われますが、

本当に気になった方は実際に本を読んで確かめてみてくださいね。

 

<煙草の害は大量に報告されている>

最初に結論を言っておくと、

タバコは吸わない方がいい

ということです。

当たり前のことですが、

煙草の害についてはかなり信憑性が高い報告が膨大な数出されています。

とはいえ、

「そのデメリットがどの程度なのか?」

「全てを煙草のせいにするのは正しいのだろうか?」

という点を抑えておきたいところです。

また、メリットについてもいくつか報告されているので、

その信憑性についても知っておきましょう。

 

<肺がんリスクが高まる>

「タバコで肺がんになる!」

というのはよく聞きますね。

実際、

日本人のがんの部位別死亡率の1位が肺がんであり、

喫煙することで上昇するリスクは男性で4.4倍、女性で2.8倍と言われています。

特に男性の肺がんリスクは喫煙によって大きく高まることが分かっているんですね。

とはいえ、肺がんリスクだけを気にするのは少し違うでしょう。

後の寿命の話につながるのですが、

肺がんで死ぬ男性は15%ほどしかいません。

ですので、他のメリットやデメリットを知って、

総合的なリスクを考えていくほうがいいでしょう。

 

<煙草は寿命を縮める?>

 

「煙草で寿命が縮む」というのはよく聞く話です。

逆に愛煙家の方が「煙草を吸ってても長く生きる人はいる」と言っているのもお約束ですね。

まず、寿命に関しては

・遺伝子

・煙草以外の他因子

によっても大きく影響されるので、

タバコの量がそのまま寿命の長さには直結しません

 

例えば紹介された研究では

・煙草を吸うが自由度が高い職場

・煙草は吸わないが自由度が低い職場

の場合、

煙草は吸わないが自由度が低い職場の方が、

慢性病にかかる確率が高いという結果が出ています。

煙草の有無よりも職場の自由度のほうが健康に大きく関与するというわけですね。

そんな訳で、

煙草を吸わないことによって自由度が下がる場合は、

寿命に関してはなんとも言えない

と言えます。

 

ただし、覚えておかなければいけないのが、

英オックスフォード大と日本の放射線影響研究所の共同研究で、

「煙草を吸う人は8~10年寿命が短くなる傾向にある」

ということが報告されたことです。

 

著者の片野田さんも

「ここまではっきりと影響が示されているものは煙草だけ」

と言っています。

結論として、

・煙草の有無がその人の寿命を直接決定するわけではない

・煙草を吸い続けることで寿命を縮めている可能性は非常に高い

 

 

<日本人は煙草に強い?>

『日本人は煙草を吸っても肺がんになりにくい』というデータが有り、

タバコの本数が同じであっても日本人の発癌リスクは低いようです。

ニコチンを分解する酵素の働きが穏やかであるため、

がん細胞増殖が抑えられるからだとか…

しかし煙草には70種類以上の有害物質が含まれているので、

特定の成分に対して強いからと言って、

煙草の害を受けにくいと考えてはいけないようです。

 

<煙草はストレス解消になる?>

ストレス解消にタバコを吸っているという方もいますが、

これはニコチンによる依存性を勘違いしていると考えられます。

 

・ニコチンへの依存性が高まる

・タバコを吸えない状態が続くとニコチン濃度が下がる

・気分が落ち込み、イライラする

・タバコを吸うことでニコチン濃度が上がり、イライラが収まる

・ニコチンへの依存性が高まる(最初に戻る)

 

という負のスパイラルに入っています。

ダイエットとリバウンドの悪循環に似ていますね。

まずは禁煙のための手立てを考えるのが、

最も効率的なストレス対策になるといえるでしょう。

 

<煙草で集中力が上がる?>

「タバコで集中力が上がる」

という報告は、実はされています。

ニコチンの作用を調べたマウス実験によれば、

作業記憶が向上したことが分かっています。

ただし、

フィンランドの研究では、オリンピック選手の喫煙状況を調べたところ、

全体的に一般人と比べて喫煙率は低く、

持久力を必要とする選手の喫煙率は一般人の5%ほどだったそうです。

高い集中力を必要としている人達ほど喫煙率が低いんですね。

 

<新型タバコでリスクが減る?>

電子タバコなんかも最近は新しいものが増えてきて、

「有害成分90%カット」

みたいな触れ込みのものもよく見ますね。

しかしこれはあくまで成分を数字的に分析したものであって、

健康リスクを軽減できるというデータがあるわけではないんです。

加熱性タバコの場合は、プラスチック部分から有害成分が出てくるという報告もされていて、

紙タバコと加熱性タバコを両方吸っている人は、

両方のリスクを負っている

と言えるかもしれません。

 

<タバコのメリット>

基本的に有害であることが多いタバコですが、

数々の化学物質が含まれるのであれば、

人体にとって良い効果がある面もあるんじゃないかというのも、

最もな考え方でしょう。

何を隠そうタバコのメリットの一つとして

子宮がんの一種である子宮体がんの発症率を下げる

可能性がある事がわかっています。

この子宮体がんは女性ホルモンの一種であるエストロゲンの刺激で増殖するがんなのですが、

タバコをすることでその働きを抑制できるようなんですよね。

国際的に最も権威がある米国公衆衛生相関報告書にも、

「閉経後女性において、喫煙が子宮体がんのリスクを下げることを推定するのに充分である」と記載されています。

ただし、

このエストロゲンの働きを抑えてしまうと今度は更年期症状の骨密度の低下リスクが高まってしまう

ということは覚えておきましょう。

そういう意味では、どちらをとるかの究極の選択と言えるでしょう。

 

もう一つ本書で紹介された煙草のメリット(?)として

潰瘍性大腸炎に関わってくるということが報告されています。

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜が爛れたり潰瘍ができてしまう難病です。

この病気の患者で

・タバコを吸っていた女性が禁煙するとこの病気が発生した

・再びタバコを吸い始めると治った

ということが報告されています。

メカニズムはまだ不明ですが、

ニコチンを薬に使えるかもしれないという研究は数多く行われているため、

この先明らかになるかもしれませんね。

とはいえ、同じく大腸に腫瘍を起こすクローン病は喫煙によってリスクが80%上昇するため、はっきりとしたメリットとは言えませんね。

 

そんな訳で、

医学的は視点からは、

得られるメリットに対して発生するデメリットが明らかに多い

として、

タバコは健康に良くない

というのは正しいと言えます。

 

やは 喫煙している人は、

無理なく禁煙に持っていける方法を考えたほうがいいですね。

www.maru-rin.com

 

 <医学では報告されないメリット>

 医学的には健康に悪いタバコですが、

科学的な視点からは文化的な観点からはメリットがあります。 

それは

・コミュニケーションツールになる

・喫煙者同士の場の共有

・信頼関係の構築

など、

喫煙者がすでに一つのコミュニティー や文化を形成している点です。

最初に「喫煙の有無より職場の自由度が寿命には大きく関わる」といったように、

すでに喫煙が文化になっている社会においては、

それに所属することによる恩恵も手軽に受けることが出来、

それこそがタバコの最も大きなメリットと言えます。

 

<周りへの影響>

はっきりとデメリットといってしまえそうなものとしては、

周りの人間への悪影響があるでしょう。

・受動喫煙によるリスク

はもちろん喫煙者は

将来的に体の不自由が効かない状態になるリスクが倍になる

という報告もあり、

・不健康になって周りに迷惑をかける

ことを考えると。

家族や大事な人達への悪影響は計り知れません。

 

「本当のたばこの話をしよう」

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