面白い授業でバカになる?【興味と学習の教育心理学】
<面白い授業はダメ?>
学校閉鎖の延長が決定され、
オンライン授業サービスが話題です。
『子供が自宅でも興味を持てる授業配信』
というものをアピールしている教育機関もチラホラ…
しかしこの
『興味を引く面白い授業』
には大きな落とし穴があるんです。
これは学習全体に言えることですので、
資格のためのオンライン授業を検討してる大人の方にも重要です。
そんな訳で今回は
面白い授業で学習効果が落ちるケース
について調べた論文を紹介します。
この記事の内容
・面白い授業の落とし穴
・選ぶべき授業は
<『面白い授業』の落とし穴>
機関:ワシントン州立大学
発表: 2020年2月
方法:メタ分析(58の研究約7500人のデータ)
今回の研究が調べたのは、
『生徒の興味を引くことは出来るけど、学習の内容とは無関係な面白さ』
が学習に対してどのように影響を与えるかということです。
この無関係な面白さの例としては
・授業中に楽しげなBGMを流す
・プリントに学習とは無関係なキャラクターのイラストを入れる
・動画の中にキャラクターが学習している様子を表すアニメーションを入れる
などですね。
注意を引くことは出来ますが、
学習の内容とはほぼ繋がりのない働きかけといえます。
この『無関係な面白さ』を心理学用語では誘引性付加物と呼ぶようです。
結果として
①誘引性付加物を使った授業は、使わなかった授業よりも成績が下がる
②社会や理科などでは①がより顕著に起こる
③紙媒体の学習では①がより顕著に起こる
ということで、小~中程度の悪影響が発見されてしまいました。
研究の結論としては
・無関係な情報のせいで大事な情報の処理が阻害される
(ワーキングメモリへの負荷)
・無関係な情報のせいで知識の整理が阻害される
(スキーマの干渉)
ことが原因だろうと考えられています。
社会や理科などの体験学習では、
学習内容自体に興味を持たせることが大事でしょうから、
科目によって結果が変わるのも納得ですね。
そんな訳で、
・動画の編集は気合を入れているが、学習内容と関係のない作り込みが多い
・BGMや視覚効果を無駄に多用している
などの
学習内容と無関係の面白さ
を多用しているコンテンツには注意が必要です。
もちろんこれら全てが悪影響というわけではなく、
無関係な面白さであっても
・気分転換によるモチベーションを維持
・知識の切り替えのための導入
などの効果も認められていますので、
この辺りはバランスですね。
<面白さは無意味?>
今回の研究報告では無意味な面白さを取り上げましたが、
学習に関係のある面白さに関しては、
非常に高い学習効果が報告されています。
学習を深めたり全体像を掴んだりするために、
学習内容と関連した面白さを教えてくれるのが、
よい授業であると言えそうです。
皆さんもオンライン授業の活用を考えている場合は、
・無関係な面白さのバランスと使いかた
・学習内容に関連する面白さを示してくれるか
・無駄な編集にコストを割いていないか
といったところを意識してチェックしてみては如何でしょう?
オンライン授業は無料体験が出来るものも多いので、
しっかりと見極めて活用してみてくださいね。