判断力が高まる小説【読書と寿命と認知力】
<読書のメリット>
皆さんは読書の習慣がありますか?
先日『仕事の効率を高める朝の習慣』について取り上げたときに、「読書がおすすめ」という話をしたのですが、あまり詳しく紹介できなかったので、今回は
「読書をすると寿命が伸びる」「決断力を高める本の種類」という研究について取り上げてみます。
この記事の内容
・読書と寿命の関係
・決断力を高める種類の本
・1日30分からでも始めよう
<読むと寿命が伸びる本>
読書と寿命の関係について調べた研究で有名なのは2016年の追跡調査
対象:3635人の男女(50歳以上)
調査対象を2つのグループに分ける
グループ1:ほとんど本を読まない
グループ2:1週間で3時間半以上は本を読む(1日平均30分以上)
12年後の死亡率を調べると
・グループ1の死亡率は33%
・グループ2の死亡率は27%
本を読む人の死亡率は優位に低かった。
・グループ1は基準値から85ヶ月ほど生存
・グループ2は基準値から108ヶ月ほど生存した。
結論から言うと、
読書をすることで平均約2ヶ月寿命が伸びる
という結果になりました。ポイントとしては読書量が多いほど寿命も伸びる傾向にあったことですね。メカニズムとしてはまだまだ仮説の段階ですが、ここまで明らかな差が出てしまうなら、読書ができる生活習慣を身に着けたほうが良さそうですね。
<決断力を高める本>
どうせ読むなら効果的なものや認知能力を高めてくれる本を読みたいですね。今回紹介するのはウェストミンスター大学のクリスティーヌ=セリファート氏のグループが行った2020年3月発表の最新研究です。これはフィクション小説が人間の認知に与える影響をレビューしたものです。
結論として
上等なフィクションや文学作品を読むことで効果的な意思決定が出来るようになる
ということが分かりました。
(メカニズム)
なぜこんなことが起きるかと言うと、認知的簡潔欲求が引き下げられるということのようです。認知的簡潔欲求というのは、「物事を分かりやすく捉えたい!」「白黒はっきりつけたい」という人間が本来持っている意識のことです。認知的簡潔欲求が高まっていると「物事を早く判断したい」という意識のせいで第一印象を優先しようというバイアス(思い込み・決めつけ)が発生してしまいます。これは当然判断ミスが発生してしまいますよね。文学作品などのやや高尚な小説を読んで複雑な文章や味わい深い表現に出会うことで、「白黒つけたい」という欲求を捨ててありのままを受け入れようという意識が育つようですね。
同様の研究をトロント大学のサム・J・マリオ氏も行っており、ある程度の文章のつながりを意識させる小説などを読むことで、認知的簡潔欲求は引き下げられるとしています。
意思決定の本やビジネス本を読むよりも、小説を読んだほうが決断力が高まるというのは面白いですね。
<1日30分からでも本を読もう>
そんな訳で1日30分の読書の習慣を作ってみましょう。出来なかった場合は休日に穴埋めする形で好きな小説を読み進めていきましょう。
習慣づけるためには自分が楽しいと思える本を選ぶことは大切ですが、次の小節が手元にくるまでの間や、好きな小説を読み終わったあとの繋ぎとして、やや高尚な文学作品を1冊用意しておいてもいいでしょう。
私がしばらく愛用していたのでは、「最後の一葉」などで有名なO-ヘンリーの短編集です。読みやすく簡潔ですが、色々と考えさせられ味わい深いですよ。