高血圧の何が問題なのか【塩分と血圧と腸内細菌】

 

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<塩分を気にする?>

皆さんは日頃の食事で塩分の量を意識していますか?

 

先日医学ニュースを見ていると「塩分が多い食事は腸内細菌に悪影響を与えるかも…」という研究報告が出ていました。一昔前は『塩分=高血圧』というイメージが強かったのですが、この考え方は大分変わってきています。せっかくなので今回は、塩分・高血圧について取り上げてみます。

 

<高血圧と健康>

まずは高血圧ですが、これは単純に安静状態の血圧が慢性的に正常値より高い状態のことで、血管に負担がかかるために動脈硬化などの上がると言われています。科学的なデータとしても、高血圧であるほど血管系のリスクが上がるというデータが出ているので、あまりにも血圧が高い場合は気にかけたほうがいいでしょう。

 

ただし注意点としては、「なぜ血圧が高くなっているのか?」が見えないケースがほとんどなんですよね。高血圧になると病院で血圧を下げる薬を出されますが、原因が分からずに血圧を下げるというのは推奨されません。それこそお医者さんも最初は食事や運動などで改善していくことを勧められるでしょう。

 

【高血圧と運動療法】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30563873/

高血圧の改善にはロンドン大学が大規模なメタ分析を行ってくれており、やはり運動こそが高血圧対策として最強という結論を出してくれています。身体機能の衰えに連動して血圧が上がる傾向にあるので、筋肉をつけて消費カロリーを増やすことなどが有効です。

 

すなわち「高血圧になったから運動や食事で解消しないと!」ではなく、「老化や運動不足によって体のあちこちに問題が出てきて、そのうちの一つとして血圧が上がっている」と考えないといけませんね。高血圧という状態は確かに血管系リスクを上昇させますが、高血圧が本質的な問題なのではなく、問題を発見するバロメーターの一つが血圧なのだと考えてもいいでしょう。

 

 

<塩分と健康>

「塩分を摂りすぎると血圧が上がっちゃう」

と考えている人は多いでしょう。確かに人の体は高塩分の食品を食べ過ぎると血圧が上がる傾向にあるようですが、まだこのメカニズムについては仮説段階です。

 

【高塩分食の弊害】

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5538905/ 

とはいえ高塩分食が慢性的に続くと身体の老化が進み、あらゆる疾病リスクが上がるので、塩分過多の食事を進めることは推奨されませんね。

 

塩分の基準値ついてはWHOも1日5gまでや日本の厚生省も1日に7~8g未満を目標値にしています。日本人の1日の平均摂取量が約10gなので、基準値よりは多く塩分を摂取していることになります。

 

ただし個人的にはこの基準には大いに疑問があります。そもそもの問題として塩分は少なすぎても健康を害するんですよね。パレオな男で紹介されていた論文

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1311889

10万人のデータを使った調査でも、

・1日の摂取量が7.5g未満だと心疾患のリスクが27%増加する

・1日の摂取量が17.5g以上だと心疾患のリスクが15%増加する

というデータが出ていて、大事なのは塩分を控えることではなく、適量の範囲内で塩分を摂ることだと分かります。

 

また、摂りすぎた塩分(というかナトリウム)は尿として体外に排出されますので、こういった排塩効果を持つカリウムを多く含む食品をとることも有効です。一般的には塩分を気にするよりも緑黄色野菜を食べることを意識したほうが有意義ってことですね。

 

www.maru-rin.com

以前の記事に描きましたが、ナトリウムを排出してくれるカリウムは、冷凍しても栄養量がほぼ減らないので、冷凍ほうれんそうや冷凍ブロッコリーなどを活用しておくといいでしょう。

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<塩分摂取が腸内細菌に作用?>

 さてようやく今回の研究です。

【高塩分食は腸内細菌に影響を与える】

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.120.14800

発表:2020年6月

対象:未治療の高血圧患者145人

・塩分量が低下すると腸内細菌が食物繊維を分解して生み出す短鎖脂肪酸が増え、血圧の低下と血管の柔軟性の上昇が観察された。

・この傾向は男性よりも特に女性に顕著に見られた。男女による腸内細菌の性質の違いが現れた可能性がある。

 

これ以前にもマウスを使った実験で

【塩分の多い食事は乳酸菌の量を減少させる】

https://n.neurology.org/content/88/16_Supplement/P3.391

などが報告されているので、腸内細菌にとって高塩分食が悪い影響を与えるのは間違いないようです。

 

・腸内環境の影響が血圧に反映される

・男女で塩分に対する腸内細菌の性質が違う

という2点からもなかなか興味深い研究だったと言えるでしょう。

 

 <まとめ>

・高血圧は問題ではなく異常のバロメーター

・高血圧には運動が一番!次点が健康的な食事!

・健康な人は高塩分食による高血圧より老化を気にしたほうがいい

・塩分のとり過ぎは腸内細菌に悪影響があるかも

 

今回は主に高血圧の話が中心でしたが、塩分に関する研究についても面白いものがあったら取り上げてみたいですね。

 

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