在宅でも会社でも~最強のデスク環境5つのポイントとは?~
<最強のデスク環境とは>
皆さんの仕事机はどんな環境ですか?
「整頓された机が一番!」と思う方は多いと思いますが、実は散らかった机や自分なりにアレンジした机環境なんかにも、思わぬメリットがあることが分かってるんです。
https://www.nicovideo.jp/watch/1595781303
メンタリストDaiGoさんがデスク環境に関する放送『最強のデスクー仕事や勉強がはかどる机まわりの環境の整え方』 でデスク周りや職場環境について調べた論文を紹介されました。DaiGoさんはこういう科学的で合理的な環境を整えるためには徹底して調べ、試されているのでかなり参考になりますね。以前に彼が勧めているデスク周りのグッズについても取り上げたことがあります。
とはいえこのブログにおいても、職場環境や机周りに関しては何度か取り上げたことがあります。以前に触れたことのある研究もでていましたし、今回は私なりにこのテーマでまとめてみました。
<机周りの環境>
DaiGoさんが紹介していた論文や、私が今までに取り上げた研究の内容をまとめると、よりよいデスク環境のポイントは以下の5つです。
1.自由度とコントロール感
2.隔離環境
3.空気
4.音
5.姿勢
それぞれのポイントで関連論文を参考に解説していきたいと思います。全ては難しくても、出来るところから改善していけばあなたの理想の作業環境が見えてくるはずです。
1.自由度とコントロール感
まず頭に入れておきたいのが『エンパワード』という言葉です。これは自分に環境を変える権限があってコントロールできているかどうかということで、後に述べる4つの要素についてもこれを感じることが出来るかどうかは非常大事です。
作業場のコントロール感と生産性について調べた研究がこちら
【ワークスペースの管理統制と従業員の満足度・快適さ】
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1660015
機関: エクスター大学
発表:2010年
対象:約2000人のオフィスワーカー
「今働いてるオフィスはどんな状態?」というアンケートを元に、生産性を比較したもの。
A.機能的で整頓されている
B.植物やアートが飾ってある
C.エンパワード(個人が望んだようにデザインできる)
D.ディスエンパワード(作業場のデザインが別の人の権限に委ねられている)
結果:
Aを基準にした場合、
Bは生産性が17%高い
Cは生産性が32%高い
自由度が下がるほど、生産性も下がる
人間は自分が安心できる環境でないと集中できないので、デスク周りをある程度アレンジしたり、好きなものを置いておくことで、落ち着く環境を作ることが大切なようです。
他にも作業場の飾り付けと生産性を調べた研究はあり
【自己表現としての作業場の個別の使用法の理解】
https://journals.aom.org/doi/abs/10.5465/amj.2012.0932
自分の好きなようにアレンジ・飾り付けを行えるようにすることで、
・自己表現による幸福度や満足度の上昇
・個々の能力を活かせる機会の増加
・同僚とのコミュニケーション、人間関係の向上
が見られました。
作業の邪魔にならない許される範囲で、自分なりに机周りをアレンジすることは、生産性だけではなくて集中力や満足度も高めてくれるようです。
好きなグッズや小物など、自分らしさを象徴するものを1つ置いて仕事するのもありですね!
2.隔離環境
これは様々な言い方をされますが要は、
邪魔が入らない環境をいかに作るか
という点で見ることができます。さらに3つに分けて考えると分かりやすいでしょう。
<1>他人からの介入を絶つ
普段会社で仕事をしていると、他人の介入で作業が中断してしまうことは実は非常に多いです。試しに記録を取ってみると実感できますよ。これをオフィスタイプで調べた研究がこちら
オフィスタイプと生産性について調べた有名な研究がこちら
【オフィスの種類と職務満足度の関係】
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29334117/
発表:2018年
オープンプラン:オフィスがガラス張りなどで誰がどこにいるのか分かる
スペース共有:誰がどの作業スペースを使ってもいい
セルラーオフィス:作業場所が個室として区切られている
といった要素を比較したところ
・オープンプランは満足度が低い
・スペース共有は生産性が低い
・セルラーオフィス(個室)はオープンプランでなければ問題ない
個室であってもオープンプランであるとやはり他者の介入が入ってしまうんですね。初期投資は安いですが、気をつけてオフィスをデザインしたほうが良さそうです。スペース共有が満足度を下げているのも、個人の権限で作業場所をコントロールできないという点がありそうですね。
とにかく他者からの介入をシャットダウン出来るように考えたいところです。
<2>自分の気を散らしてしまうものを排除する
こちらは分かりやすいですね。
・メールやSNSのチェックタイミングを決める
・スマホを近くに置かない、特定のアプリを操作するために一手間かかるようにする
・マルチタスクの解消
などと自分の気が散ってしまわないようにルールを決めましょう。これについては『マルチタスクを止めて一つの作業に集中できるようにしよう』という以前に取り上げた内容も参考にできそうです。
とはいえ
【散らかった机は創造性を生み出す】
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797613480186
『考え事をするときは散らかっていたほうがいい』
『単純作業は綺麗な方がいい』
という研究結果も出ているので、
作業内容によってはきちんと整頓していればいいという訳ではなさそうです。
アイデア出しをしないといけない場合は、ある程度机は賑やかでもよいので、誘惑対策だけはしっかりやっておきましょう。
そして仕事が終わったらその日のうちに片付けるのがポイントです。
<3>切り替えられずに引きずってしまう問題を解決
これは直前までやっていた仕事内容や感情が尾を引いて、集中を切り替えられないパターンです。
・単発で終わらないSNSでのやり取りは休憩中にしない
・場所の移動(休憩時間は仕事場以外で過ごすなど)
・仕事始めのルーチンワークを決めておく
・仕事前に5分瞑想
などして、しっかりと切り替えられるようにしましょう。
3.空気
先程のエクスター大学の研究でも、職場に植物があると生産性が向上することが分かっています。
【植物の相対的なメリット】
以前にも取り上げましたが、
観葉植物が見えるだけでもストレスレベルが下がってミスが減り、生産性は向上します。
また、植物が二酸化炭素を減らして空気を清浄にしてくれる効果も注目されています。
【オフィスにおける二酸化炭素レベルの影響】
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26502459/
サンプル数は少ないものの、グリーンオフィスという実験用のオフィスを作って行われた大規模な研究です。
発表:2016年
機関:ハーバード大学他
対象:24人
<1>.普通のオフィス
<2>.高機能な換気設備、VOCとCO2のレベルがやや低いグリーンオフィス
<3>.自然の中にいるほどVOCとCO2のレベルが非常に低い
<1>を基準としたとき
・問題解決能力が<2>は約2倍、<3>は約2.3倍
・戦略的思考力が<2>は約2.5倍、<3>は約3.8倍
・情報の取捨選択能力、<2>は約2.7倍<3>は約4倍
二酸化炭素レベルが低い綺麗な空気の職場の場合劇的な差が出ました!
認知機能はCo2によって低下するので、空気清浄機はオススメです!
しっかりしたメーカーの1つか2つ前の型なんかだと、2万円もせずに買えるようになっています。きれいな空気で健康的に生活できて、仕事の効率も上がるなら検討する価値は大いにあるでしょう。
他に職場の机におけるくらい手軽なところだと、観葉植物は水で簡単に育てられるポトスなんかがおすすめですね。
4.音
基本的に仕事をするときは無音が一番と考えられます。
よほどの単純作業でもない限り、音楽などを聴きながら仕事をすることは効率が悪くなることは以前にお話しましたが、仕事場というのはなんらかの雑音が飛び交っているものです。
可能であるなら、ノイズキャンセリングイヤホンなどをつけて仕事ができることが理想でしょう。着けて仕事をしてみると、普段如何に雑音にさらされて仕事をしているのかが実感できますよ。
それも難しい場合、職場の雑音をなんとか緩和できないかと調べた研究がこちら
【認知環境の調整:オフィスのサウンドマスキング】
3つのオフィス環境を調べたものです。
A.ホワイトノイズで環境音をマスキング
B.流水音で環境音をマスキング
C.何もしない
結果として
・Bが最も優秀に集中力を維持した
・認知能力に関しては全て変わらず
なんでも水の流れには集中力を切らさないようなランダム性が含まれているとのこと。職場に自然音を流すのはやって見る価値はあるかもしれませんね。
5.姿勢
以前に座り仕事のデメリット解消として骨盤クッションやストレッチなどを取り上げたことがありますが、座ったままの姿勢がずっと続くことは集中力の低下とともに健康被害を引き起こす可能性があります。
また自宅や可能な職場であるなら、可変型スタンディングデスクの導入を検討する価値は十分にあると言えます。何度も取り上げた研究ではありますが、
【デスク介入後のコールセンターの生産性】
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/21577323.2016.1183534
発表:2016年
機関:テキサス大学
期間:6ヶ月
仕事の生産性をチェック
A.スタンディングデスク(調整可能)のグループ
B.座って仕事するグループ
契約が何件取れたかという数字
・Aは2の1.5倍!
・Aは6時間ほど着席時間が少なかった
・Aの75%は体の不快感が減った
調整可能なスタンディングデスクというのは、つまりは調整して座り仕事に変えることもできるというものですね。
生産性が1.5倍になって着席時間も減ったというの驚異的なメリットです。
職場の場合はスタンディングデスクを自分だけ導入というのは難しいと思いますので、せめて骨盤クッションやストレッチの習慣を考えてみましょう。
おすすめはこちら。安くてコンパクトなので職場に持っていけます。私の以前の職場でも流行っていました。
<今すぐデスク環境を整えよう>
今回は以上です。すぐに全ては無理でも、自分がコントロールしているという感覚を持つために小さいところから始めてみましょう。
1.コントロール感と自分らしさ…好きな物を置こう、アレンジしよう
2.気を散らせる要因を排除・隔離…デザイン検討、気を散らさないルール、瞑想
3.空気…換気、植物、空気清浄機
4.音…ノイズカット、BGM
5.姿勢…スタンディングデスク、骨盤クッション、ストレッチ
今回まだ紹介していないメンタリストDaiGoさんのオススメアイテムなどから考えると、以下の三点セットは検討していいでしょうね。私は自宅に導入してそろそろ1年経ちますが、非常に効率的で健康的ですよ^^
スタンディングデスク
座りモードと立ちモードを変えられるので便利。ずっと売り切れだったスタンディングデスクが再入荷されたようですね。私は妥協して別のを買ってしまいました(笑)
ステッパー
こちらはメンタリストDaiGoさんの愛用品と同じもので、売り切れてることが多いです。ステッパーは安物だと騒音が煩かったり壊れやすかったりするので、しっかりしたものを買ったほうがいいです。少なくとも値段が安いものを買うときは実物を見て使用感を確かめましょう。
ブックスタンド
書籍やタブレット端末だけでなく、ノートPCなどと組み合わせて使ってもよく、便利です。書見台に置いてある状態だとタブレット系は操作しにくくなるので、ついついいじってしまうことも減ります。気を散らせる要素の削減ですね。
今回は以上です。出来るところから自分に合ったデスク環境をデザインしてみてください!