卵は1日何個まで?【未だに見解が分かれる健康と鶏卵】
<卵は健康にいい…はず!>
皆さん卵は好きですか?
昔から日本でも親しまれている卵ですが…
1980年代に
「卵はコレステロールを上昇させる」
と言われ、懸念されだしました。
しかし1990年代から
「卵は毎日食べてもコレステロール値は上昇しないようだ」
という事がわかってきて、
2015年に
「むしろ毎日食べるべき」
という報告があってからは、
色んな方が卵を推奨されています。
youtubeなんかを見るとほとんどの方が
「卵を沢山食べよう!」
と言われていますね。
私も卵は好きで毎日食べていたんですが、
今年になって
「週3個以上食べていると心不全のリスクが上がる」
なんて結構ちゃんとした報告があり…
調べてみても
「卵は1日何個迄大丈夫なの?」
という問いへの見解は、
色んな人で分かれているんですよね。
そんな訳で今日のお話です。
<コレステロールと卵>
コレステロールは油に近いイメージの有機化合物です。
脂質というと分かりやすいかな。
いわゆる「悪玉コレステロール」や「善玉コレステロール」というのは血管中のコレステロールがタンパク質と合成されたものですね。
悪玉コレステロールが血液中に増えてくると、
血管にこびりついて心疾患のリスクが上がると言われています。
ただし
コレステロールは人間の体に必要な物質です。
多すぎても少なすぎてもいけないので、悪者扱いしないように(笑)
そんなコレステロールのほとんどは肝臓で合成され、
食事から摂取されるものは20%ほどと言われています。
沢山摂取すると肝臓が合成する量を減らしますし、
摂取量が減ると肝臓が合成量を増やします。
肝臓が正しく機能している間は、
基本的には体内でコレステロールの値はある程度正常化されるわけです。
コレステロール値に異常が出ている人は、
卵を控えるのではなく
肝臓に負担をかける食品を控えるのが正しい
と言えます。
オメガ3脂肪酸を含む食品で
善玉コレステロールを増やすことも有効とされています.
つまり控えるべきは
・お酒
・甘いお菓子
であり、
食べるべきは
・アボカド
・サバ缶
ということですね。
最近2017年の研究では
https://academic.oup.com/jn/article/147/3/323/4669740
『健康な若年成人の1日あたり最大3個の卵の摂取は、
HDL機能の変化と血漿抗酸化物質の増加に関連する』
という研究があり、
「卵を食べたほうが問題は解決されるんじゃない?」
なんてことも言われているくらいです。
<衝撃の報告!卵で心不全になる!?>
そんな訳でむしろ卵はどんどん食べようという風潮でしたが、
2019年に米ノースウエスタン大学のビクター・ゾン氏から
『週3個以上の卵の摂取で心疾患のリスクが上がる』
という衝撃の報告がされました。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35134378.html
日本語の記事が出ていますので、
興味がある方は読んでみてください。
これは、
1985年~2016年の間にアメリカで行われたアンケート調査29615人分のデータ
を利用し、
機関中の心疾患発症率と卵の摂取量を比べたものですね。
結果、
①
食事からのコレステロール摂取が1日当たり300ミリグラム増えると、
心疾患に関連したリスクは3.2%高まり、
早死にする可能性は4.4%増える。
②
卵は1日当たりの消費量が半個増えるごとに、
心血管系疾患のリスクは1.1%高まり、
早死にする可能性は1.9%増える。
なかなか衝撃的な結果ですね。
3万人近い様々な人種のデータ最大30年分(中央値17年分)というのもなかなかの量です。
また、これまでの研究と違い、
卵の消費と他の不健康な行動(運動不足や喫煙、不健康な食生活など)との関係を考慮している
というのは信憑性が高いです。
私は
「直接の因果関係は分からないけど、
なんらかの関連性は認められるんじゃないかな?」
と思いました。
少なくともコレステロールの摂り過ぎには消極的になりましたね。
<各所の方の見解>
パレオな男のパレオさんはこの報告に対して、
「過去の先行研究との食い違いがある」
として
「この結論には乗り切れない」
と言っています。
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/03/blog-post_30.html
今までのメタ分析とあまりにも違うので、
その気持ちは分かりますね。
ビクター・ゾン氏はその反論を
「これまでの研究が他因子を考慮に入れていなかったからだ」
と言っていますが、
たしかに今までの研究結果と真逆の内容ですから筋は通ってます。
このブログでも度々取り上げている
管理栄養士の圓尾さんは
これを重く捉えてか、
卵を毎日食べることに関しては消極的です。
「卵は一日一個まで」は本当?コレステロールについて分かりやすく
ただ、
「卵を普通は週に3個も食べない」
「和食では卵はあんまり食べない」
と言ったことを言われているので、
少し独特な立場が伺えます。
和食中心でも毎日卵を食べる人はザラに居ると思いますが・・・
他に興味深かったのは
栄養チャンネル Nobunagaさん
『卵の栄養学』卵の栄養と摂り方について科学的に解説します。【栄養チャンネル信長】
卵黄の調理法や、体質によって
卵が心疾患のリスクを高める可能性を示唆されています。
前回の糖化の話を引き合いに出して考えるなら、
たまご料理と行っても、
ゆで卵や煮卵はリスクが少ないと言えるかもしれません。
この方は1日に1~3個を推奨されています。
ただどの方についても、
バランスの良い食事
を意識することの大切さを度々言われています。
「この栄養については卵を食べておけば大丈夫」
という慢心は絶対にやめたほうが良さそうです。
大切なのは、
今後の研究にアンテナを立てておくことでしょう。
<これまでの卵の報告をまとめたレビュー論文が登場>
そんな訳で、
この報告以降も私はお昼にゆで卵を1個食べるようにしていました。
毎日卵を食べる人はこれまでも沢山いたはずですからね。
週に5個~7個は食べる感じですね。
ただし
食べ過ぎ厳禁&バランス良く食べる
を意識してです。
そんな中
2019年10月には、
これまでの研究をまとめての分析報告がされました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31599222
『心疾患と卵消費の関連性:包括的レビュー』
いままでの研究をまとめて、
卵と心疾患との関係性を調べたもので…
・7つの系統的レビュー
・15のメタ分析
によってなっています。
これによると、
一般消費者の卵消費量の増加は、
心疾患リスクとは関連していない
ただし、卵の消費と各種リスクに関してはより一層の研究が必要
という結論が出ています。
<まとめ>
そういう訳で、
週3個未満を真に受ける必要はないが
まだはっきりしない点も多い
というのが現時点での科学的見解ではないでしょうか?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28359773
個数としては、これまでの研究を参照するなら
1日2~3個までなら問題ない
とするのが良さそうです。
大切なのはバランスの良い食事ですから、
タンパク質を卵ばかりに頼るのではなく、
魚や肉など色んな食材を摂るようにしましょう。
<ポイント!>
①煮卵やゆで卵の方がオススメ!
②1日3個までならほぼ大丈夫!
③特定の栄養を卵だけに頼るのは止めよう!
卵自体は栄養学的に非常に優秀な食品ですので、
食べない手はないと思います。
卵と栄養学については
タマゴ科学研究会が
http://japaneggscience.com/index.html
HPから最新の情報も含めて発信してくれていますので、
気になった方はチェックしてみてください。
今後も機会あれば卵について掘り下げていきたいですね。