免疫力を高める最高の睡眠とは?【睡眠障害を避ける6ポイント】
<睡眠不足になってませんか?>
外出自粛が続いていますが、
皆さんは最近よく眠れていますか?
コロナウィルスの影響で免疫力を高めることが推奨されていますが、
実は免疫力を高めるいちばん大切な要素は睡眠ではないかと言われています。
このブログでは睡眠や快眠法について何度か取り上げてきましたが、
今回は
免疫力を高める最高の睡眠
について考えていきたいと思います。
今回はその名の通りこちらの本を参考にしました。
「スタンフォード式最高の睡眠」
睡眠についての論文や書籍はたくさん出ていますが、
・科学的信憑性(エビデンスレベル)の高さ
・著者自身の専門性
から、現時点の日本の書籍の中では信頼度は高いと感じました。
著者の西野精治さんは30年以上も睡眠を研究している医師であり教授でもある方ですので、睡眠業界の権威と言えますね。
今回の内容
・日本人の睡眠
・睡眠の役割
・最高の睡眠とは
・最高の睡眠のためのポイント
<日本人の睡眠>
日本は平均睡眠時間が6.5時間で、6時間未満の人が40%と世界的にも睡眠時間が短い人が多いとされています。
必要な睡眠時間というのは基本的には遺伝子によって決まるため、
短いことが悪いこととは言えないのですが…
日本人の場合
「十分な睡眠がとれていない」
と感じている人の割合も諸外国に比べて大きいのです。
しかもこの傾向は年々進んでおり、特に都市部で顕著です。
東京在住の人の平均睡眠時間は5.59時間と、
諸外国でもダントツの短さです。
この睡眠が充分でない状態が続くと
・休息効率の低下
・免疫力低下
・記憶力の低下
・ホルモンバランスの乱れ
・脳の老廃物蓄積
などの悪影響が起きてしまうとして、
日本では睡眠に対する関心が高まっています。
<睡眠の役割>
せっかくですので睡眠が果たしている役割について確認しておきましょう。
これらの項目をチェックして最近不調を感じた人は、
睡眠が充分でなくなっている可能性があります。
・免疫力を高める
良い睡眠環境は体内のホルモンバランスを整え、生活習慣病の予防にも大きく働くことが分かっています。
特に眠りはじめに多く分泌される『成長ホルモン(グロースホルモン)』によって、
・免疫力が高まる
・筋肉や骨が強くなる
・代謝が正常化される
が分かっています。
・脳と体に休息を与える
睡眠中は交感神経と副交感神経が交代交代に優位になり、
体に休息を与えて調子を整えてくれます。
・記憶の整理、定着
起きていた時の嫌な記憶を消去してくれるだけではなく、
学習後の睡眠によって記憶が定着するという研究結果が出ています。
・脳の老廃物をとる
アルツハイマーなどの原因となる脳の老廃物を排除してくれます。
<寝すぎても寿命を縮める!?>
2002年にサンディエゴ大学のが米国がん協会の協力を得て実施した100万人規模の調査では、
・死亡率が最も低かったのは平均値に近い7時間眠っている人達
・それよりも短時間睡眠の人も長時間睡眠の人も6年後の死亡率が1.3倍高い
ということが分かりました。
睡眠不足以外に寝過ぎもまた、体に良くないようですね。
あくまでも調査結果ですので、
「体調が良くないから横になって眠っている」
「そもそも長時間体を酷使しているため睡眠時間が短くなっている」
というような因果関係を考慮できていません。
睡眠と死亡率の関連性が証明されるのはもっと先の話になりそうですが、
全体の傾向としては寝過ぎや短眠の人は短命であると言えそうです。
「寝たいけど仕事が忙しくてあまり寝れていない」
「寝るのはいいことだからとズルズルと寝すぎている」
という人は要注意ですね。
<最高の睡眠とは>
それでは最高の睡眠とはなんなのか、
それは睡眠の量ではなく質を上げること
特に
眠りはじめの90分の質を最大限に高めること
です。
この理由は眠り始めてから最初の90分が、
最も眠りが深い状態だからです。
また、最初の90分では免疫力を高める成長ホルモンが分泌されます。
人間の睡眠は
レム睡眠…脳は起きて体が眠っている状態
ノンレム睡眠…脳も体も眠っている状態
に別れていて、
眠っている間に何回か周期を繰り返します。
今回の書籍ではこの最初の90分を
黄金の90分(ゴールデンタイム)
と呼び、
最高の睡眠のための最も大切な要素として位置づけています。
周期が進むほど睡眠としての役割が弱くなっていくんですね。
【「スタンフォード式最高の睡眠」99ページより】
睡眠の量を今までよりも多く確保するのは、
現代人ではなかなか難しいのですが、
この質の向上については様々な知識やテクニックで高めることが出来るのです。
<最高の睡眠のためのポイント>
それではここからは免疫力を高める黄金の90分の質を高めるために、
科学的に有効とされているポイントを紹介します。
全てを実行する必要はありませんが、
少しでも心がけておくことで睡眠の質は驚くほど高まるでしょう。
1.就寝90分前に入浴を済ませる
これは体温が睡眠に与える影響を利用したものです。
人間の体には
深部体温…体の中心温度
皮膚温度…体の表面温度
があり、
・深部体温が下がっている状態
・深部体温と皮膚温度の差が少なくなっている状態
に深い眠りが起きます。
入浴による深部体温の上昇はわずか0.8~1.2℃ほどですが、
深部体温は上がった分だけ大きく下がろうとする作用があります。
入浴によって上昇した深部体温が通常の体温に戻るのは90分ほどかかるので、
入浴後90分経って以降は通常よりも低い深部体温が続くというわけです。
逆に入浴後90分以内に寝なければいけない人は、
ぬるいお風呂やシャワーで済ませることで、
睡眠の質が低下することを避けられます。
2.寝る前に靴下を脱ぐ
こちらも体温と睡眠の関係を利用したテクニックです。
入眠時に人間の体は手足から熱放射が起きて深部体温を下げています。
これによって深部体温と表面温度の差が縮まり、深い睡眠を起こしているんですね。
手足を温めることは血行を良くして熱放射を促すため、
寝る前まで靴下を履いておくことは理にかなっています。
しかし靴下を履いたまま眠ってしまうと足の裏からの熱放射が妨げられてしまうんですよね。
・寝る前までは靴下を温めて足の血行をよくしておく
・就寝時に靴下を脱ぐことで熱放射を促し、深部体温を下げる
が黄金の90分を深い眠りにするためのポイントです。
3.室温コンディションを整える
睡眠で悩む人に対しては、
しばしばよい寝具が提案されることがありますが、
良い寝具を使っていても室温を整えておかないとメリットを引き出せない
ということが分かっています。
適温は人によって違うので、「○℃にすること」とは言えませんが、
現代では様々な室温調整方法があるので、
タイマーなどを駆使して深い眠りを作っておきましょう。
私は冬場には空気を汚さないオイルヒーターを利用しています。
4.入眠時間は早めない
これは脳の仕組みと睡眠の関係の話です。
例えば次の日の朝に2時間早く起きなけれればいけなかったとしても、
2時間早く寝ようとしてはいけません。
人間の脳は体の睡眠サイクルに従っており、
特にいつも寝ている時間の直前から2時間前までは、
特に眠りに入りにくい時間帯であることが分かっています。
早くベッドにはいってもなかなか眠ることが出来ず、
むしろ黄金の90分の質は逆に低下してしまいます。
逆に夜ふかしは眠くなったタイミングで寝るのであれば黄金の90分は守られるので、
実は早寝は夜更しよりも健康に悪いということも出来ます。
どうしても早く寝ないといけない人は、
これまで述べた体温調整などを使って出来るだけスムーズな入眠が出来るように工夫しましょう。
5.知識が脳に眠りをもたらす
私のブログでも快眠テクニックをいくつか紹介しましたが、
思い込みであっても入眠に対しては有効であることが分かっています。
「これは睡眠薬ですよ」といってラムネを渡された人の多くが、
睡眠効果を実感したなんて実験が有名ですね。
そのため、自分がやってみようと思った快眠テクニックをとりあえず試してみるのもいいでしょう。
6.就寝前はパソコンやスマホを観ない
寝る直前までスマートフォンやパソコンを使っていると、
眠りの質が低下することが分かっています。
スマホなどのブルーライトが脳を覚醒させてしまうと言われていますが、
科学的にはある程度の距離で画面を見ている分にはブルーライトの影響はそこまで大きくないと考えられています。
問題点としては、スマホやPCから得た情報によって脳が興奮状態になってしまうことが原因のようです。
就寝前は脳に大きな刺激を与えるような情報を得ないように気をつけたいですね。
<おわりに>
今回は免疫効果を高めるのに重要な要素である睡眠について紹介しました。
睡眠に関しては最新の研究で様々な新しい発見が出ているので、
今回紹介した本の理論全てを過信してはいけません。
とはいえ現時点の睡眠の常識を知るには十分すぎる情報が載っていますので、
興味のある方は読んでみては如何でしょうか。
なんと漫画版も発売されています。