自宅の筋トレでも死亡率はしっかり下がる!?
皆さんは自宅で筋トレってやってますか?
このブログでは軽い運動の健康効果を度々取り上げてきました。特に早歩きのウォーキングなどの有酸素運動は、アンチエイジング・死亡率低下・メンタル改善などの素晴らしい効果が分かっています。
「じゃあ筋トレの健康効果はどうなの?」ということですが、メンタル改善には有効と分かってはいても、アンチエイジングや死亡率低下にどのくらい効くのかを報告してくれる研究は少ないんですよね。
今回は観察研究とはいえ、
『週に数回の筋トレでも、死亡率をしっかり減らしてくれる』
という研究があったので紹介します。
<軽い筋トレとアンチエイジングの関係>
今回の研究はシドニー大学が行ったもので、かなりの量のデータを使っています。研究者によると「これまでは筋トレは高齢者の身体機能の維持として捉えられてきたが、実際の死亡リスクとどのくらい関係しているのかを調べた」とのことです。
【筋力増強運動の健康的効果:11のデータを使ったコホート研究】
https://academic.oup.com/aje/article/187/5/1102/4582884
発表:2017年
対象:約8万人
関係:筋トレと死亡率
※自宅での軽い筋トレも含める
結果:
・週2回の自宅の軽い筋トレでも死亡率を23%下げる
・がんリスクは有酸素運動よりも筋トレをやったほうが31%下がる
週2回の軽い筋トレでも死亡率はしっかり下がる!
という結果でした。
研究者いわく「筋トレと聞くとジムの激しいトレーニングを想像する人が多いが、実際にはそこまでする必要はない。腕立てやスクワットのような定番の筋トレを自宅や公園で行うだけでも、充分なメリットを得ることができる」としています。
・スクワット
・腕立て伏せ
・懸垂
など週2回でいいので習慣にしてみましょう☆
オススメのタイミングとしては朝起きてすぐか、夕食前辺りがいいですね。
こういう器具を置いておくと腕立て伏せを習慣づけやすいですよ!
バーピーも安全にできます。
感謝力を鍛えればメンタルが強くなる!【科学が実証した感謝トレーニングの効果】
<感謝してますか?>
皆さんは日頃から周りの人に感謝の気持ちを伝えていますか?
日常的な感謝って、それが当たり前になってしまってついつい口に出さなくなりがちです。しかし感謝の気持というのは「わざわざ口に出さなくても大丈夫だろう」と思っているよりも遥かに口に出さなければ伝わらないことが分かっています。
そして先日、意識的に感謝の気持を持つことは自分自身のメンタルにも良い影響を与えるということが実証されました。以前に記事にした『メンタルの強い性格を作る方法』でもメンタルと感謝の気持の関係を取り上げましたが、意識的な感謝であっても有効というのが今回のポイントですね。
そんな訳で今回は1日15分で可能な
メンタルケアに最適な『感謝トレーニング』
のお話です。感謝の気持ちは鍛えるもの!感謝力を鍛えて穏やかな心で日々を過ごしましょう。
<感謝の価値は?>
今回の研究を行ったのはオランダ・トゥエンテ大学の心理学者Bohlmeijer氏の研究チームです。
【持続可能な精神的健康のための感謝の気持ち促進】
論文URL:
https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-020-00261-5
発表:2020年6月
対象:適格と判断された217人のオランダ成人
期間:6週間の追跡調査
軽度のメンタルヘルス上の問題を抱えた人たちを集めたものです。研究チームはこれらの被験者を3つのグループに分けて、メンタル改善効果を比較しました。そして最もメンタル改善効果が高かったのが、『感謝トレーニング』と呼ばれるものでした。
1週間に5日間、1日に15分(週に75分)という程度の内容でしたが、これを実践したグループは
・幸福度、満足感、喜びなどの項目で、他のグループを大きく上回っていた
・特に幸福感がダントツに高まり、実験後も3ヶ月継続する
ということが分かりました。
<感謝トレーニングってどんなもの?>
それでは具体的にやり方を確認してみましょう。
必要なもの:ノート、筆記用具
期間:6週間続ける
時間:週に5日トレーニングする日を決める、1回のトレーニングは15分ほど
内容:以下の6つを実行する(1日に全てが出来なくてもいいが、週にそれぞれ最低1回は出来るようにする)
1.感謝の日記
・その日に嬉しかったことや良かったことを理由を含めて3つ書く
・細かく書く必要はなく、箇条書きでよい
2.日常への感謝
「水道から綺麗な水が出る」「かわいいペットが居る」など、日常的で当たり前になってしまっていることを1つ選び、それがなくなってしまったことを想像する。
3.感謝の手紙
・知人に対して感謝の手紙を書く
・メールや本人へ直接伝えてもいい
・手紙を書いた場合は最終的に本人に渡さなくてもいい
4.人生の出来事(幸運)
・自分の人生を振り返る
・特定の人や物、出来事のおかげで自分がどれだけ恵まれているのかを詳しく書く
5.人生の出来事(困難)
・自分の人生を振り返る
・大小問わず自分にとって困難だった出来事を思い出し、その経験から得られた前向きな変化を詳しく書く
6.朝の5分感謝
・できれば毎日やるとよい
・朝の時間に5分間、「物事に感謝する姿勢を持とう」と意識する
これが感謝トレーニングです。6週間続ければ感謝力が高まり、健やかなメンタルで日々を過ごせることは科学の折り紙付きです。
<おまけ>
実際に感謝の気持ちを書き出すという作業に入ってみると分かるのですが、感謝の気持を表す言葉のレパートリーが少ないことに気付かされます。言葉の語彙を深めることは、自分の感情をより深いところで理解することに繋がりますので、そういった感情類語辞典のようなものを持っておくといいでしょう。
「嬉しい」と直接言わない嬉しいの表現が数十個載っています。
コンパクトサイズだとこちらもオススメ。
皮肉屋に知性を感じるのは幻想?
<皮肉屋は頭がいい?>
メディアでも日常でも、皮肉をよく使う人っていますよね。そしてそういう人たちは、何となく他よりも頭がいいと思われがちだったりします。実際『自分が知性的だと相手に思わせるためには、適度な皮肉やブラックジョークを使うことが有効』なんていう報告もあったりするほどです。シャーロック・ホームズなど、フィクションの世界でもこういった皮肉屋たちが高い知性を持っているように描かれていますね。しかし実際はどうなのでしょうか?
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0146167218783195
今回はそんな皮肉と知性についての報告について取り上げてみます。
<シニシズムと知性>
今回の研究は、社会的習慣や道徳などを懐疑的に捉えるという『シニシズム(批判主義・冷笑主義)』について調べた研究です。
【シニシズムは私達が思うほどスマートではない】
https://qz.com/1329802/cynicism-isnt-as-smart-as-we-think-it-is/
発表:2018年
対象:全世界30万人分のデータ、200人を対象とした実験
結果:疑り深い皮肉屋は一貫して有能ではない
研究者によると、「一般的には『人間は自己利益によって動かされる』と考えられているため、他者の行動を『自己利益に突き動かされている』とみなすシニシズムは合理的で賢明に見えがち。しかし、実際には賢明からは最も遠いものである。」「皮肉屋は何も学ばない。シニシズムは自分に落胆することを恐れて世界を拒絶するものだからです。皮肉屋は常に『NO!』と言うが、『YES』こそが成長の始まりである。」とのこと。
皮肉屋は合理的に見えて賢く見られがちだが、そこに成長はない
という、なかなか重みのある分析でした。
<皮肉と認知>
とはいえ実際、皮肉めいた表現や言い回しが、人間の脳に影響を与えることは知られています。
【最高の知性:皮肉は創造性を高める】
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S074959781500076X
皮肉は創造性を高めるという実験も出ていたりします。皮肉交じりの会話をした方が、新しいアイデアを思いつきやすかったんだとか。脳の抽象思考を司る部分が刺激されるので、皮肉を言った方も言われた方も創造性が高まるみたいなんですよね。
つまり、場面を選べば皮肉を使うことは有効であると考えられるようです。
<シニシズムと批判的思考の違い>
以前に取り上げた批判的思考(クリティカル・シンキング)も、皮肉屋の使う懐疑的な見方に近いように思えます。
しかし批判的思考は
・自分にも間違いがあることを認識する
・否定ではなく批判、「本当にそうかな?」という疑問を持つこと
ということで、自分自身もちゃんと疑おうという思考法です。一緒にしないように気をつけなければいけませんね。
そんな訳で、何でもかんでも否定する皮肉屋になっても真の知性は得られません。
世界を受け入れる姿勢を崩さず、「ほんとにそうかな?」という疑問を内面に持った人間を目指したいですね。
皮肉は常にまとうものではなく、必要に応じて使いこなすものです。
揚げ物にはオリーブオイルが最強!?
<揚げ物に使う油は?>
皆さんは揚げ物をする時にどんな油を使っていますか?
以前に『揚げ物に使うべき油は何なのか?』というテーマを取り上げたことはあります。
そのとき、「少し割高だけどオリーブオイルはオススメ!」という話をしました。
一般的に使われている
・サラダ油
・キャノーラ油
はリスクが多過ぎるんですよね。詳しく知りたい方は以前の記事をどうぞ
揚げ物自体が頻繁に沢山食べるべきではないということは明らかですので、たまに食べるなら美味しいものを食べたいですね。実際、オリーブオイルを使った揚げ物は風味が抜群ですごく美味しいです。
今回はそれに加えて、『オリーブオイルは加熱しても抗酸化作用が殆ど減らないかも!』という研究が報告されましたので紹介します。
<オリーブオイルでの調理実験>
今回報告されたのはスペインのサンパウロ大学の実験です。
【フェノール性プロファイルの変化】
https://www.mdpi.com/2076-3921/9/1/77
内容としては、オリーブオイルでの加熱調理してポリフェノールにどれだけの変化が出たのか調べるというもの。120度と170度で比較して、実際に調理も行っているところがポイントですね。オリーブオイルは当然、最も質の高いエキストラヴァージンオリーブオイルです。
結果としてオリーブオイルのポリフェノール量は120度で40%減少、170度で75%減少という結果が出ました。やはり加熱することによってポリフェノールは減少しますが、研究チームによると「EUが定義する健康レベルの基準を上回っており、LDLコレステロールの酸化を保護するには充分な値だ」としています。
すなわち、
揚げ物に使用してもオリーブオイルの抗酸化作用は健在!
と言えそうです。
<加熱調理にはオリーブオイル>
そんな訳で、加熱調理にはオリーブオイルを使うのが良さそうです。オリーブオイルよりも揚げ物に向いている油は無いことはないですが、他の調理にいつも使えるわけではありません。油で注意すべきは、開封するとどんどん酸化していくこと!普段使えて、揚げ物にも適したオリーブオイルが最強と言っていいのではないでしょうか?
オリーブオイルは美容、健康効果も抜群で『健康にいいとはっきり言える数少ない食品』と言われる数少ない食品ですからね。興味のある方は以前の記事をどうぞ
今の所
・アンチエイジング効果(美肌効果)
・整腸作用
・ダイエット効果
・認知能力の向上
・抗酸化作用
・メンタル改善
などが報告されています。
<オリーブオイルの注意点>
「じゃあスーパーの安いオリーブオイルを買って揚げ物をしよう」と思う人がいそうですが、オリーブオイル時の注意として、『質の悪いものが大量に出回っている』というものがありますので、この点だけ気をつけましょう。
これは以前に輸入品のオイルであっても、偽物(粗悪品)が大量に出回っていることを記事にしました。
・透明な容器に入っている
・半透明な容器だが、プラスチックである
・やたら安い(1Lで500円しない)
などは要注意です。
・エキストラヴァージンオリーブオイルを選ぶ
・せめてJASマークがついているものを選ぶ
などと意識しましょう。特に、今回の加熱実験でも分かるように、そもそもの抗酸化作用が低い粗悪品の場合、揚げ物に向いているとはとても言えませんからね。
また、開封後の油はどれもどんどん酸化していくので、良いものを頻繁に使って回転させましょう。
私が気に入っているのはこちらのオリーブオイルです。JAS認定&有機であり、風味も豊かでとても美味しいですよ。一人暮らしなら1Lのものはなかなか空にならずに酸化が進んでしまうので、350~500mlくらいのものを使うといいかもしれません。
国際オリーブコンクール最優秀賞を受賞したオリーブオイルを選んでみるのもいいでしょう。私は今のオリーブオイルがなくなったら、スペインのオリーブオイルであるメルガレホを購入してみようかと検討しています。別にジュースのようにゴクゴク飲むものではなく、使う時にもスプーン1~2杯くらいですからね。良いものを大事に使うという意味では、充分に価値があるでしょう。
おそらく 今後もこのブログではオリーブオイルを推していくことになりそうですね。
追記:2021年5月
死亡リスク上昇要因ランキング【米研究2020】
<死亡リスクをどのくらい高めるのか>
あなたには
・健康のために控えていること
・不健康とは知りつつもやってしまっていること
ありますか?
「〇〇は体に悪いから止めたほうがいい」といった話はよく聞きますが、それらの要因を数字化し、比較出来るようにするという調査をアメリカの研究チームが行ったようです。
https://www.inverse.com/mind-body/the-abstract-tips-for-social-distancing-til-2022
<高齢者対象の調査>
今回は13611人の高齢者を対象に6年間に渡って追跡調査をしたもの。
【57の要因から死亡率を予測する】
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/16/1918455117
期間やデータ量はそこまでではありませんが、リスク要因を特定するための細かいアンケート調査を行っています。「幼少期の困難」「成人期の有害な事象」「経済的困難」「健康に関する行動」「心理的特性」「ネガティブな社会相互作用」の6項目に分類される57個の要因を分析した結果、次の10個が特に死亡リスクを高める要因となることが分かりました。
10位:全てをネガティブに考える 【死亡リスク23%増】
これはネガティブシンキングを利用するわけではなく、メンタルの状態が非常に不安定になっているケースです。生活から受けるストレスが多くなってしまうことも、死亡リスクを高める原因になるようですね。とはいえこれだけではそこまで大きな要因とは言えなさそうです。どちらかと言えば、精神状態が不安定になったことで、これ以外の要因が強化されてしまうんでしょうね。
9位:フードスタンプを利用したことがある 【死亡リスク28%増】
これはアメリカの低所得者向けに行われている食料補助のことです。日本だと生活保護に近いですが、日本とアメリカでは貧富の格差のスケールが違いますので安易に結びつけることは難しそうです。この場合は「一時的ではあってもかなりの貧困状態になったことがある」というように考えておいていいでしょう。
8位:未婚である 【死亡リスク30%増】
孤独もまた人生の満足度を下げる要因として知られています。とはいえこれも決定的に大きな要因ではないと思いますので、独身の人は他の要因を強化しないように気をつけるのが良いでしょう。動物を飼ったり、施設などで誰かと一緒に暮らしたりというのも有効な対策と言えるかもしれません。
7位:人生の満足度が低い 【死亡リスク31%増】
人生への満足度そのものがここにランクインです。とはいえ影響力は31%程度…満足度の低さ、飢餓感も時には生きる原動力になりうるのかもしれませんね。
6位:喫煙歴がある 【死亡リスク32%増】
これは過去に喫煙歴があるかどうかですが、現在タバコを止めている場合であってもやはり死亡リスクは高まるみたいです。タバコが特定の疾患のリスクを下げることも報告されていますが、やはり健康に悪いことは確かですね。タバコについては以前にまとめたことがあります。
5位:失業歴がある 【死亡リスク32%増】
これは個人的にすごく意外でした。アメリカの失業率の高さから見ればそこまで寿命に関連しているようには見えませんが、ある程度関係しているようです。日本人を対象とした調査があった場合、この項目がどの辺りにくるのか興味深いですね。
4位:最近、財政難である 【死亡リスク32%増加】
高齢となった現在における経済的な困難さがあるかどうかですね。医療体制が日本ほど満たされていないアメリカでの財政難は死亡リスクとも大きく関連してきそうですが、意外なことに32%程度。もっと長い追跡期間だともう少し上位に入ってくるんじゃないでしょうか?こちらも日本での調査結果が気になります。
3位:アルコールを乱用している 【死亡リスク36%増加】
やはりアルコールの乱用は健康を害することは確かなようですね。また乱用しているということは、他の死亡リスク上昇要因も増やしてしまいそうです。
2位:離婚歴がある 【死亡リスク45%増加】
なんと離婚歴が2位です!未婚よりも明らかに数字が高いんですね。一度結婚しているからこそ孤独感をより強く感じてしまうのでしょうか?離婚歴と寿命の関係については、機会があったら論文を探してみるのも面白そうですね。
1位:現在進行形で喫煙している 【死亡リスク91%増加】
喫煙が堂々(?)の1位です!
これはやはり現在タバコを吸っている人は一刻も早く禁煙することを考えたほうが良さそうですね。91%増加って、2位の倍以上ですよ…
<その他報告>
今回の調査では、
・男性の方が女性よりも28%高い割合で死亡リスクを上昇させている
・「日常的な差別」が13位(22%上昇)に入っていて、黒人は白人に比べて死亡リスクの上昇ケースが多い(22%上昇)
なども明らかになっています。
研究者たちは今回の調査が健康的な長寿社会を目指すための手がかりになるとして、より一層の研究が必要だと締めくくっています。
長く健康的にいるために、私達も日々の生活をよりよいものにデザインしていかなければいけませんね。
余談ですが、パレオな男こと鈴木裕さんの『最高の体調』が漫画で出ていました。漫画版は説明が簡略化されていてかなり読みやすかったので読んだことのない人は是非!興味が湧いたら書籍版も読んでみるといいでしょう。
人間関係を楽にする最強の伝え方【アサーション・トレーニングとは】
<相手に伝える技術>
あなたは自分の周りの人達に対して、自分の意見が言えていますか?
そう言われると考えてしまう人が多いんじゃないでしょうか。中には「自分は結構意見を言えてるよ」という人もいるかもしれませんが、むしろそういう人の方が要注意だったりします。なぜならそういう人は『上手く』伝えることが出来ていない可能性が高いからです。
先日メンタリストDaiGoさんがアサーショントレーニング(自分の意見を伝えるためのトレーニング)について取り上げられており、
ちなみにこの続きは「人間関係がラクになる最強の伝え方【16のアサーショントレーニング】」というタイトルでDaiGoさんの有料チャンネルで観ることが出来ますので、興味を持った人は登録してみるといいでしょう。
そんな訳でアサーションに注目が集まっている今だからこそ、私なりにアサーション・トレーニングについて取り上げてみようと思います。アサーションは相手との関係を壊さずに相手に自分の意見を伝える技術なので、これを身につけることで
・周りの人間と良好な関係を作ることが出来る
・自尊心が高まり、メンタルも強くなる
という非常に素晴らしい効果があります。
この記事から分かること
・アサーションとは
・自分のタイプを知ろう
・大切な考え方
・4つのトレーニング方法
<アサーションとは>
アサーションを直接和訳すると「自己主張」という意味になります。ここでいうアサーションとは、単に自分の主張を押し通すだけでなく、相手の立場を尊重しながら自分の意見を伝える力ということになります。自分の意見を上手く相手に伝えるためのコミュニケーション能力のことですね。アサーションが出来ている行動をアサーティブな行動といいます。
コミュニケーションには3つのタイプがあって、例えは自分が並んでいる列に割り込まれた場合なんかに、
1.内心ムッとするが何もしない(ノン・アサーティブ)
2.相手の非難し、列から排除しようとする(アグレッシブ)
3.先に並んでいたことを伝え、後ろに並ぶように丁寧に頼む(アサーティブ)
というように分類できます。ここで適切なバランスでアサーティブな行動を取るためには、日頃から練習が必要ということになります。これがアサーション・トレーニングと言う考え方です。
アサーションの概念についてはこちらの本に詳しく書かれていましたので、興味のある方は読んでみるといいでしょう。ただし具体的なトレーニング方法についてはあまりしっかりとは書かれておらず、自身の著書や講演会の誘導が示唆されていました。
具体的なトレーニング方法を考えるならこちらの方が良いかもしれません。やはり子育てや教育関係の研究を含めて論じられることが多いようですね。旧版含めて品切れのようですが。
<まずは自分のタイプを知る>
アサーション・トレーニングを始める前に、まずは自分のアサーションレベルがどれくらいなのか、どういう傾向にあるのかということを知っておく必要があります。2014年にコロンビア大学で行われた実験では、『自己主張が強い人ほど自分の自己主張が足りなかったかもしれないと感じ、自己主張が弱い人ほど自分が主張しすぎたのではないかと感じる』という結果が出ており、人間は自分の自己主張の強さを正しく認識できていないことが示されています。本当の意味でアサーションが必要な人ほど、「自分のはアサーションは必要ない」と思っているなんて皮肉ですね。
自分のタイプを知るために簡易なチェック項目を作りました。以下の問いに「はい ○」「いいえ ✕」で答えてみてください。
1.見知らぬ人達の会話に入ることが好き
2.知らないことやわからないことがある時、説明を求めることができる
3.自分が緊張したり神経質になったりした時、それを受け入れることが出来る
4.自分の長所や成果を人に言うことができる
5.人から褒められた時、素直に受け入れられる
6.自分が間違った時、すぐに認めることができる
7.長電話や長話を、自分から終わらせることができる
8.好意でやってくれる行動であっても、煩わしい時は断ることができる
9.不当な要求を断ることができる
10.レストランで注文した料理が違っていた時、それを知らせて交渉できる
・「はい ○」が4つ以下
この場合は単純に自己主張が少ないタイプですね。先程の3つのタイプの中ではノン・アサーティブなタイプですので、とにかく日頃からアサーション・トレーニングを行って自己主張のための自信をつけていきましょう。人を相手にした具体的な行動を積み重ねていくことをオススメします。
・「はい ○」が5つ以上
一般的は値から、○の数が多いほど色んな場面での自己主張は強いと言えます。ただし注意点として、6~10の項目を改めて見返した時に『その時の自分はどんな感情を持っているだろう』と想像してみてください。この時自分が感情に振り回されず、落ち着いて行動できているのならば、あなたのアサーションレベルは非常に高いと考えていいでしょう。ただし怒りや不快感などの負の感情に心を大きく動かされているのなら、それは先程の3つのタイプの中のアグレッシブなタイプと言えます。この場合は、自分の行動を振り返る機会を作り、感情のコントロールを身につけるためのトレーニングを優先して選びましょう。
<必要な考え方>
アサーションは子育てや教育の分野で研究されてきましたが、最近ではビジネスの世界でも注目され、ビジネスマンにおいてもアサーション・トレーニングが必要だと言われています。ここまで述べたように、単に自分の意見を押し通すだけではアサーションとは言えません。トレーニングに行く前に、アサーションにおける大切な4つの考え方を確認しておきましょう。
1.素直であること
まずは自分の感情に正直であることです。これをはっきりしておかないと、自分にとって何が大切なのか分からずに自己主張することになります。当然ですが、相手の感情に対しても素直に受け入れる姿勢を持ちましょう。
ただし後ほど述べますが『怒り』の感情には注意です。
2.対等であること
自分も相手も等しく人間としての尊厳を持っていることを意識します。会社などでは当然上下関係などはあるでしょうが、本質的には人間として対等ですので、変に傲慢になったりへりくだったりする必要はありません。
そんな人間にも平等に接することが、相手への最大の敬意だと考えましょう。
3.誠実であること
お互いを大切にという意識で相手と接しましょう。感情に素直といっても、相手の感情を尊重しないようではいけません。自分が間違えたときにはしっかりと謝りましょう。
4.責任感を持つ
自分の意見を伝えても、望んだ反応が返ってこないことは当然あります。そんな時も自分を攻めるのではなく、自分が行動した結果なのだと受け入れましょう。自分の言ったことややったことに責任を持つことを意識しましょう。
<アサーション・トレーニング>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hwelfare/10/2/10_KJ00007499572/_article/-char/ja/
アサーション・トレーニングといっても、決められたタスクをこなすと言うよりは、日々の生活の中にアサーション・トレーニングの要素を取り入れると言ったほうがイメージが付きやすいでしょう。
1.感情のコントロール
何度も言っていますが自分の意見を相手に伝えたいときは感情のコントロールが最も大事です。特に『突発的な怒り』は人間関係においてほとんどデメリットしか無いので、これらに正しく対処しておきましょう。これが出来ていない人は、以下の4つのトレーニングを行ったとしても、大した成果を出すことは難しいかもしれません。
・怒りの感情が湧き上がった場合は、「落ち着くためのルーチンワークを決めておく」「相手に断って少し時間を空けてもらう」「難解なパズルを問いて怒りを散らしてしまう」などとそれを切り離す方法を心得ておきましょう。
怒りを切り離す技術『リアプレイザル』については以前にも取り上げていますので、『怒り』に身を任せてしまいがちな方はチェックしておいてもいいでしょう。
今回は感情をコントロールする(感情に振り回されなくなる)ためのトレーニングを2つ紹介しておきます。
・感情インベントリ
これは毎日のトレーニングとして、夜寝る前なんかにやってみると効果的です。内容としては、「その日に自分が感じた感情をとにかく10分間で書き出す」というもの。アサーションが高い人は50個以上書き出せるようですよ。自分の感情を知り、相手に伝えるためのトレーニングになります。また、自分の感情を自覚しているだけで、それに振り回されることは減っていきます。
・感情サーモメーター
こちらは日常生活を行いながら出来るトレーニングです。シンプルに「自分の感情が動いた時、その波の大きさを10段階で評価する」というもの。これをすることで自分の状態が客観視出来るので、感情に対して自分がどうするべきなのか判断を行うことが出来るようになります。
2.言葉選び
普段使っていている言葉を改めて見ることも、手軽で立派なアサーション・トレーニングです。先程の「素直・対等・誠実・責任感」の4つを意識して言葉を選ぶようにしましょう。
ポイントは
・相手ではなく自分を主語にして伝える
・ネガティブな言葉ではなくポジティブな言葉を使う
・自分の気持ちを伝える
・お願いするような表現を選ぶ
例:(あなたは)どうしていつも資料を出すのが遅いの?→(自分は)資料を出してくれるのが早いと助かるな
3.ストレスマネジメント
これに関しては当ブログで何度も取り上げていますが、やはりストレスマネジメントはアサーションにおいても非常に大切です。心理学の研究では、「相手に何かをお願いしたい場合、言ってることの内容よりも感情や精神状態の方が大事」ということが分かっています。アサーションを高めるためにも、ストレスのない生活を心がけましょう。
ポイントとしては
・適度な運動習慣
・バランスの取れた食事
・ストレス解消の方法を持つ
ということですね。
人間は不満やストレスを感じたときほど相手に自分の意見を伝えようとしがちですが、実はその状態はアサーションに最も不向きなコンディションなんですよね。ストレスのない状態でアサーションに臨むようにしましょう。
ちなみにストレス解消の方法はたくさん知っているほどよいとされていますので、自分に合ったストレス対策の方法を改めて探してみるのも有意義だと思います。
4.ロールプレイ
最後に相手への共感力を高め、自分の行動をシミュレートするためのロールプレイ・トレーニングを紹介します。
(1)過去に誰かと揉めたことを思い出す。
(2)以下を紙に書き出す。
・いつの話か
・相手は誰か
・相手はなんと言ったか
・その時の相手の感情
・自分はなんと言ったか
・その時の相手の感情
(3)自分と相手の立場を入れ替えた場合をシミュレーションしてみる
・どんな行動をするか
・どんな感情を持つか
(4)相手の行動の背景にどんなことがあったのか想像する
・思いつく限り書き出してみる
・相手の言ってることの中で理がある部分を書き出す
(5)次同じことがあった場合の自分の行動・言動を書き出す
やってみると分かりますが、結構相手に共感できるポイントも見つかるんですね。これをすることで相手への共感力が高まり、自分自身の感情に振り回されにくくなります。また、次に同じことがあった場合のシミュレーションにもなって一石二鳥です。もっと言うならこの行動自体もストレスマネジメントになっていたりします(笑)
紙とペンだけで簡単にできるのでやってみましょう。
<おすすめアイテム>
今回はアサーショントレーニングについて紹介しましたが、これらのトレーニングをする上で持っておくといいと思うのが感情類語辞典です。
感情コントロールにしろ言葉選びにしろ、自分の中に湧いた感情を正しく選んで使うことが出来ないなら、感情に振り回されることは必然です。嫌なことがあっても「むかつく」「最悪」といったように、短絡的な言葉しか出てこない人はこの状態に陥っていますので、またすぐに同じことを繰り返してしまいます。
「嬉しい」と直接言わない嬉しいの表現が数十個載っています。
コンパクトサイズだとこちらもオススメ。自分の感情を正しく自覚して、向き合うことで、アサーション・トレーニングも一層の効果が得られるでしょう。
コーヒーの飲み方による健康効果比較が意外な結果に!?
<正しいコーヒーの飲み方>
あなたや周りの人はどんなコーヒーを飲んでいますか?このブログではカフェインの効果に注目してコーヒーを取り上げることがよくあるのですが、このたび『コーヒーの健康効果を高める飲み方は何か?』という研究が報告されたので紹介します。
研究の内容としては、
コーヒーメーカーやフレンチプレスなどで抽出して作ったコーヒーと
フィルターを使ってハンドドリップで作ったコーヒーを比較したもの
コーヒーにこだわりを持つ人は前者を使っているイメージですが、結果はいかに…?
<コーヒーの醸造方法とその効果を調べた研究>
今回の研究はノルウェーの公衆衛生研究所とスウェーデンのヨーテボリ大学の研究者が協力して行ったものです。
【コーヒーの消費と死亡率:醸造方法は重要か?】
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/2047487320914443
対象:約50万人のノルウェーの男女(20~79歳)
期間:20年間の追跡調査
項目:健康状態・コーヒーの飲み方・コーヒーの摂取量・運動習慣や健康レベル
結果:
・コーヒーを飲んでいるグループの死亡率は飲まないグループより15%低かった
・フィルターを使って飲んでいる人はフィルターを使わずに飲んでいる人よりも死亡率が低かった(性別・年齢問わず)
・1日に1~4杯フィルターを使ってコーヒーを飲んでいる人のグループが死亡率は最も低かった
これは意外!なんとフィルターを使って淹れたコーヒーの方が高い健康効果が確認されたんですね。分かりやすく言うと
・コーヒーは健康効果が高い!
・フィルターで淹れたコーヒーは健康効果がより高い!
・1日に1~4杯飲もう
<フィルターによるメリット>
こだわっている喫茶店などはコーヒーメーカーなどでフィルターを使わずに抽出しているイメージですが、普通にフィルターでドリップしている方が、健康効果が高かったんですね…
ではなぜそんなことが起きたのかと言うと、今回研究チームはフィルターによる成分の濾過が理由ではないかと述べています。コーヒーには様々な健康効果がありますが、摂りすぎると体に良くないとされる成分も含まれています。コーヒーに含まれるカーウェオールとカフェストールという成分は、LDLコレステロールを増やす働きがあるとされています。フィルターを使うことでこれら2つの成分は数十分の一に減少するので、心疾患のリスクを抑えてくれるんですね。
【濾過したコーヒーのコレステロール上昇因子固定】
https://www.jlr.org/content/35/4/721.short
これについての研究は1995年にすでに報告されていたのですが、今回の大規模な調査によって信憑性はかなり高まったと言えるでしょう。
<注意すべきは>
そんな訳で、「繊細な味にこだわらないなら普通のドリップセットで充分」ということでした。当然フィルターを通さないことによって得られる成分もあるでしょうが、今回の調査から健康効果だけを見るなら、フィルターを使ったもののほうが優れていると言えるでしょう。
1000円ぐらいでかなり使いやすいものが買えるので、持ってない人はこれを機に揃えてみてもいいでしょう。
ただ私的に注意すべき点はコーヒー豆の質だと思っています。以前本のレビューを書いたときも言いましたが、高フェノールの浅煎りコーヒーを選ぶことで高い抗酸化作用が得られるんです。
そんな訳で私は浅煎りで有機のものを選ぶようにしています。お気に入りはこちら、爽やかな香りが美味しいです。
今回は以上です。
美味しいコーヒーを手軽に楽しんでいきましょう。
制限すると痩せる必須アミノ酸があるらしい
<必須アミノ酸についての意外な報告>
栄養の話をしていると、必須アミノ酸という言葉をよく聞きます。これはたんぱく質を構成するアミノ酸のうち人間が体内で充分な量を生成できないアミノ酸のことで、これらを食事からしっかり摂ることが重要とされています。ダイエットやトレーニング言われる『質のいいたんぱく源』というのも、必須アミノ酸をどれだけ多く含んでいるかというのが指標になることが多いです。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16568-z
ところが新しい研究で、『特定の必須アミノ酸を制限すると肥満や糖尿病のリスクが下がる』という意外な報告が出されたので取り上げてみます。ただし、この論文を真に受けるべきということではなくて、むしろこの論文を利用した変なダイエットや怪しいサプリが出てきた時に、気付けるようにしておくことが大事なんじゃないかと思っています。
「実は一般的なプロテインにはデブ成分が含まれていた!」
みたいなサプリ類の宣伝や
「〇〇の肉は痩せるアミノ酸が豊富!〇〇ダイエット」
みたいな特集記事が出てきそうな気がするんですよね(笑)
<制限すると痩せる?>
必須アミノ酸が人間に必要不可欠であることは先程述べました。ただし、食事においてアミノ酸や必須アミノ酸の量を制限することは、糖尿病やがんやコレステロール値上昇の予防として有効かもしれないという研究がいくつか出ています。もちろん動物実験の段階なので確証はありませんが、「食事性たんぱく質希釈(DPD)」というテーマで研究が進められています。
今回実験を行ったのはオーストラリアの医学研究所とモナーシュ大学とシドニー大学の研究者達によるチームで、特定のアミノ酸の摂取量を制限したマウスを観察したものです。
【食事制限の本質的な要素】
結果としてトレオニンとトリプトファンという必須アミノ酸の量を制限したマウスは
・副作用なしにカロリー消費量が上がった
・糖尿病予防効果が確認できた
ことが確認できました。トレオニンは穀物に多く含まれる必須アミノ酸で、トリプトファンは乳製品や大豆製品を中心に含まれていますね。
研究者たちは「今回の実験で、代謝面での食事の役割を理解するためのピースを一つ埋めることが出来た」としており、2種類の必須アミノ酸について再検証を行っていきたいとしています。
<分かったこと>
今回分かったのは、
・必須アミノ酸によって代謝における役割が違う
・トレオニンとトリプトファンの保つ特性の一部
・まだまだ研究段階
ということですね。これらの言葉を使った安易なダイエットが出てきても真に受けないようにしましょう(笑)
必須アミノ酸の持つそれぞれの性質が完全に明らかになるのはまだまだ先のことでしょうが、今後も研究が進めば長寿や健康のために欠かせない必須アミノ酸を絞り込んでいくことも可能になるかもしれませんね。それまでは必須アミノ酸を含む食事をしっかりととっていきましょう。