大人ニキビを増やす食事と減らす食事
<大人ニキビの原因となる食事>
大人になってからニキビは『吹き出物』と言われますが、その原因は
・食生活の乱れ
・寝不足
・飲酒喫煙
・ストレス
・ホルモンバランスの乱れ
などの要素が複合的に合わさっています。特に重要なのが食事で、肌状態は食事によって決まる部分が非常に多いんです。以前肌荒れの原因になる食品の話をしましたね。こちらも興味がある方はどうぞ。新しいウィンドウで開きます。
https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/article-abstract/2767075
先日フランスの大規模な研究により、大人ニキビの原因となる食事が報告されました。今回は2万人以上のフランス人を対象とした調査でわかった大人ニキビを増やす食事・減らす食事について取り上げます。
<大規模なオンライン調査>
今回の調査を行ったのは、パリ・エスト・クレテイユ大学の研究者グループで、オンラインを使ったアンケート方式の調査を行いました。
【大人のニキビと食事との関連性】
https://www.inverse.com/mind-body/food-linked-to-adult-acne-study
公開:2020年6月
対象:24452人のフランス人
項目:「ニキビの有無や経験」「食事の内容」「病歴」「運動量」「生活習慣」「心身の健康」「喫煙状態」
分析の結果、ニキビが多い人達の食生活は
・砂糖入り飲料
・牛乳
・脂肪や砂糖が多い食品
との関連性が強いということが分かりました。
砂糖や脂肪は言わずもがな…やはり乳製品の量は考えたほうがいいみたいですね。以前取り上げた研究でも同様の結果が出ていました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0190962204021589
対象:ニキビに悩む47355人の女性
結果:乳製品を取るほどにニキビのリスクが上昇する。
今回の結果をみて研究チームは「果物や野菜、魚は大人ニキビを減少させる可能性が高い」ことも報告しています。
ニキビを増やす食事
・砂糖と脂質の多い食品
・砂糖を含む飲料
・乳製品
ニキビを減らす食事
・果物や野菜
・魚
<どんな食事がいい?>
そんな訳で、そこまで意外性のある報告ではありませんでしたが、今回の研究をそのまま受け取ると単に食べられるものが減ってしまうだけになります。そこでこれまで取り上げた研究も踏まえてどんな食生活がいいのか考えてみました。
1.乳製品
やはり乳製品の量には意識を向ける価値はあるようです。とはいえ乳製品には物凄い栄養価とメリットがあることも事実!
・チーズなら1日1~2切れ
・ヨーグルトなら1日200g
・牛乳なら1日コップ1杯
あたりを目安に、良いものを少しだけ楽しむというスタイルにするといいですね。私はチーズの美容効果をかなり信頼しているので、ナチュラルチーズを毎日食べるようにしています。完全シャットダウンではなく、良いものを適量楽しむ形にシフトするのがいいでしょう。
2.飲料
徐々に気温も上がってきていますし、清涼飲料がいくらでも欲しくなる時期ですね。しかし砂糖を含む飲料は依存性が高いので要注意です。これはフルーツジュースにも同じことが言えますので、飲み物は砂糖を含まないものを飲むように習慣づけましょう。
私のオススメはペットボトルの水やお茶を入れた水筒を持ち歩くこと!水を飲む習慣はスキンケアやダイエットにもいいですし、暑いからとついつい甘い飲み物を買ってしまうのを防ぐことも出来ます。美味しいお茶や美味しい水の良さを知ると、甘い飲み物が欲しくなることもなくなっていきますよ。
3.果物
控えたほうがいいと思っても、砂糖や油をたくさん使った料理やお菓子はなかなか止められません。そこで重要なのが甘味は果物でとるということです。我慢ばかりしているとお菓子が食べたくなって爆発してしまいますが、果物を食べて甘いものにある程度満足できていれば、お菓子への衝動もなくなっていきます。
果物ジュースは肥満を呼びますが、果物自体はむしろ肥満を減らし、肌状態も整えてくれることが分かっています。甘いマンゴーやバナナであっても、気にせず食べましょう。注意点としては、ドライフルーツの場合は砂糖を使ってないものを選ぶことです。
4.ナッツ
さて、果物だけでは、体は資質を求めます。果物生活を続けていると人間の体の特性上、ドーナツやポテトフライなどが食べたくなってしまいます。そこでオススメなのは、ナッツ類をおやつに活用することです。
ナッツには体に必要な脂質が含まれているので、毎日食べていれば油ものへの欲求を減らしてくれます。資質が含まれているので食べ過ぎはいけませんが、1日に50g(大体一掴み)程度の量ならむしろ肌状態を整えてくれます。美肌成分が豊富なアーモンド、クルミ、カシューナッツなんかがオススメですね。
今回は以上になります。食事以外の要因でも大人ニキビは発生しますので、せめて食生活くらいは良い肌状態を保つために整えておきたいところですね。悩んでいる人は、まずは日常的に食べているもののスライドから始めてみましょう。
最後に私のオススメ食品を載せておきますので参考にしてもらえたらと思います。スーパーでも買えるものが多いですし、水なんかはネットでまとめて買っても楽です。
スーパーに売っている6ピースチーズの多くは加工されたプロセスチーズなので注意。1~2切れまでは1日の適量なので丁度いい。臭みが少なく、優しいチーズの味が毎日の楽しみになっている。
備蓄という意味でもストックを切らさないようにまとめて購入している。外出時に必ず1本持っていくのが最近の習慣。夏場は凍らせて持っていけるのが便利。賞味期限などもなく、災害時にも助かるので買っておいて損はない。
3種類のベリーで飽きが来ない。低カロリーだが抗酸化作用が高いので、アンチエイジングやストレス解消効果もある。冷凍庫に切らしたくない食品。
ジュースにせずにそのままいただくことが多い。甘くても果物の状態で食べればダイエット効果のほうが高い。もちろん食べすぎには注意。最近の研究で抗ストレス作用があることが分かった。
肌にいい3種類のナッツが入っている。1袋35gと1日に食べる適量なので、おやつとして活躍している。小分け袋は持ち運びが簡単なのがいい。
改善点を指摘する際に使うべき感情【恋人に変えて欲しいこと】
<相手に改善して欲しいことがあったら>
少し前に『怒りの感情は良好な人間関係を作りたい場合はデメリットしか無い』という話題を出したのですが、では『どんな感情を利用するといいのか?』という研究が報告されていたので取り上げてみます。
一般的には近しい人、特に恋人との良い関係を築くためには相手の気持を汲み取る『共感』が大事とされています。このための『傾聴』というテクニックも以前に話題にしたことがありますね。そして今回の研究は『改善点を指摘するときはどんな感情を利用するべきか』というものです。
<恋人に伝えるべき感情>
【恋人との関係を支配する感情の共感効果】
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0956797620904975
発表:2020年5月
機関:ロチェスター大学
対象:111組のカップル
内容:パートナーに変えて欲しいこと調査→二人の話し合いデータ→その後の感情調査
結果:
・恋人の悲しみ・恥・罪悪感を読み取ると、改善を受け入れる可能性は上がり、関係も深くなる
・恋人の怒り・軽蔑などの感情を読み取ると、改善を受け入れる可能性は下がり、関係も悪くなる
つまり改善点を訴えている恋人の中に
・悲しみ・羞恥心・罪悪感が感じられると関係は良好になる
・怒り・軽蔑心が感じられると関係は悪くなる
ということでした。
研究者は今回の実験から「相手の問題点を指摘する時に恥ずかしさや罪悪感を表に出すことは悪いことではない。それらの感情は相手への気遣いを示すものであり、そこに共感を抱くことは相手にとっても価値がある。」ということを述べています。
<まとめ>
今回の研究は恋人を対象にしたものですが、近しい人間関係という意味では他のことにも応用が可能と考えられます。
相手に何かを改善して欲しいときは、怒りや軽蔑の感情が湧いてしまい、それを共感してもらいたいと思いがちです。しかし相手との関係を良いものにしたいという思いで何かを要求するなら、怒りや軽蔑の感情は抑えて、悲しみや恥ずかしさ、悪いなと思う気持ちを全面に出すようにしましょう。自分の精神がある程度落ち着いている時に伝えるべきってことですね。
反対に相手から何かを改善して欲しいと言われて、その気持に寄り添いたい場合は相手の恥ずかしさや罪悪感に注目してみましょう。もちろん相手が怒りの感情を込めて話している場合、こちらも他の感情を読み取るのが難しくなるでしょう。その場合はお互いにクールダウンする時間を取ることを提案してみましょう。その際こちらの悪いという気持ちを押し出すことを忘れないように。
<関連記事>
怒りを抑える方法についてはこちら
傾聴についてはこちら
高血圧の何が問題なのか【塩分と血圧と腸内細菌】
<塩分を気にする?>
皆さんは日頃の食事で塩分の量を意識していますか?
先日医学ニュースを見ていると「塩分が多い食事は腸内細菌に悪影響を与えるかも…」という研究報告が出ていました。一昔前は『塩分=高血圧』というイメージが強かったのですが、この考え方は大分変わってきています。せっかくなので今回は、塩分・高血圧について取り上げてみます。
<高血圧と健康>
まずは高血圧ですが、これは単純に安静状態の血圧が慢性的に正常値より高い状態のことで、血管に負担がかかるために動脈硬化などの上がると言われています。科学的なデータとしても、高血圧であるほど血管系のリスクが上がるというデータが出ているので、あまりにも血圧が高い場合は気にかけたほうがいいでしょう。
ただし注意点としては、「なぜ血圧が高くなっているのか?」が見えないケースがほとんどなんですよね。高血圧になると病院で血圧を下げる薬を出されますが、原因が分からずに血圧を下げるというのは推奨されません。それこそお医者さんも最初は食事や運動などで改善していくことを勧められるでしょう。
【高血圧と運動療法】
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30563873/
高血圧の改善にはロンドン大学が大規模なメタ分析を行ってくれており、やはり運動こそが高血圧対策として最強という結論を出してくれています。身体機能の衰えに連動して血圧が上がる傾向にあるので、筋肉をつけて消費カロリーを増やすことなどが有効です。
すなわち「高血圧になったから運動や食事で解消しないと!」ではなく、「老化や運動不足によって体のあちこちに問題が出てきて、そのうちの一つとして血圧が上がっている」と考えないといけませんね。高血圧という状態は確かに血管系リスクを上昇させますが、高血圧が本質的な問題なのではなく、問題を発見するバロメーターの一つが血圧なのだと考えてもいいでしょう。
<塩分と健康>
「塩分を摂りすぎると血圧が上がっちゃう」
と考えている人は多いでしょう。確かに人の体は高塩分の食品を食べ過ぎると血圧が上がる傾向にあるようですが、まだこのメカニズムについては仮説段階です。
【高塩分食の弊害】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5538905/
とはいえ高塩分食が慢性的に続くと身体の老化が進み、あらゆる疾病リスクが上がるので、塩分過多の食事を進めることは推奨されませんね。
塩分の基準値ついてはWHOも1日5gまでや日本の厚生省も1日に7~8g未満を目標値にしています。日本人の1日の平均摂取量が約10gなので、基準値よりは多く塩分を摂取していることになります。
ただし個人的にはこの基準には大いに疑問があります。そもそもの問題として塩分は少なすぎても健康を害するんですよね。パレオな男で紹介されていた論文
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1311889
10万人のデータを使った調査でも、
・1日の摂取量が7.5g未満だと心疾患のリスクが27%増加する
・1日の摂取量が17.5g以上だと心疾患のリスクが15%増加する
というデータが出ていて、大事なのは塩分を控えることではなく、適量の範囲内で塩分を摂ることだと分かります。
また、摂りすぎた塩分(というかナトリウム)は尿として体外に排出されますので、こういった排塩効果を持つカリウムを多く含む食品をとることも有効です。一般的には塩分を気にするよりも緑黄色野菜を食べることを意識したほうが有意義ってことですね。
以前の記事に描きましたが、ナトリウムを排出してくれるカリウムは、冷凍しても栄養量がほぼ減らないので、冷凍ほうれんそうや冷凍ブロッコリーなどを活用しておくといいでしょう。
<塩分摂取が腸内細菌に作用?>
さてようやく今回の研究です。
【高塩分食は腸内細菌に影響を与える】
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.120.14800
発表:2020年6月
対象:未治療の高血圧患者145人
・塩分量が低下すると腸内細菌が食物繊維を分解して生み出す短鎖脂肪酸が増え、血圧の低下と血管の柔軟性の上昇が観察された。
・この傾向は男性よりも特に女性に顕著に見られた。男女による腸内細菌の性質の違いが現れた可能性がある。
これ以前にもマウスを使った実験で
【塩分の多い食事は乳酸菌の量を減少させる】
https://n.neurology.org/content/88/16_Supplement/P3.391
などが報告されているので、腸内細菌にとって高塩分食が悪い影響を与えるのは間違いないようです。
・腸内環境の影響が血圧に反映される
・男女で塩分に対する腸内細菌の性質が違う
という2点からもなかなか興味深い研究だったと言えるでしょう。
<まとめ>
・高血圧は問題ではなく異常のバロメーター
・高血圧には運動が一番!次点が健康的な食事!
・健康な人は高塩分食による高血圧より老化を気にしたほうがいい
・塩分のとり過ぎは腸内細菌に悪影響があるかも
今回は主に高血圧の話が中心でしたが、塩分に関する研究についても面白いものがあったら取り上げてみたいですね。
体内時計を〇〇で調製出来るかも!という実験
<光以外にも方法が?>
皆さんの生活リズムは安定していますか?長い休みがあるとついつい乱れがちという人も多いと思います。
人間には『体内時計』というものがあり、普段意識していなくても日中は活動的になり、夜は休息状態になるというように、切り替わる仕組みができています。このリズムが狂ってしまうと、「昼間に眠くて集中できない」「夜に目が覚めてよく眠れない」といった不具合が起き、場合によっては深刻な体調不良を起こしてしまいます。
これは睡眠リズムを整える時にも特に大切な考え方で、太陽の光を浴びることでこの体内時計を調節できるんですよね。これについては快眠法の話を以前にしていますので、興味のある方はどうぞ(別ウィンドウで開きます)
今回動物実験の段階ではありますが、
体内時計の調製に運動が活用できるのではないか
https://www.inverse.com/mind-body/realign-body-clock-with-exercise
という研究が報告されたので取り上げます。
<体内時計と運動の関係>
フロリダ大学のデニス・ケムラー氏らの研究チームは30匹のマウスを使った実験を行いました。
【骨格筋の運動と収縮による時間依存効果】
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/JP279779
発表:2020年6月
方法:体内時計を形成するたんぱく質の量を測定する
マウスには活動が活発になる『活動期』と大人しくなる『休止期』があるため、運動させるタイミングを変えてマウスの活動周期がどう変わったのかを調べた結果
・休止期の途中で運動させると体内時計が約100分進んで早くに活動期が来た
・休止期の終わり頃に運動させると活動期が伸びて体内時計がやや遅れた
・活動機の途中に運動させても体内時計に狂いは認められなかった
人間での応用はまだまだですが、ここから考えるとすると、
・朝の運動は体内時計を整えるのに有効
・遅い時間の運動は体内時計を狂わせる可能性が高い
と思っていいのではないでしょうか?
うーん、やはり朝の運動はメリットが多いですね。
1.朝は光とともに目覚めて脳を起こす
2.起きたら1杯の水を飲んで体を内側から起こす
3.朝の軽い運動(20分のウォーキングなど)をして脳の認知能力を高める
というのが、今の所私の考えるベストな朝の習慣でしょうか。
起きるタイミングが日昇時間と合わない人は、光時計目覚ましの購入を検討されてもいいかも…目覚めの爽やかさが変わりますよ。
チーズ味のジャンクフードで痩せる?【チーズと肥満の関係】
<チーズで痩せる?>
皆さんはチーズは好きですか?先日メンタリストDaiGoさんの動画で【食べて痩せるジャンクフード】としてチーズが紹介されました。
チーズは高脂肪食品ですが、発酵食品でもあり、乳製品でもあるため、様々な健康効果が期待できるというもの。チーズの健康効果については美肌効果や虫歯予防効果について最近話題にした気がします。
しかし今回は、「このデータから肥満解消を期待して、チーズの入ったジャンクフードを食べるのは軽率すぎるな…」「大事な注意点が抜けてるかも…」と思ったので取り上げてみます。このブログでも1年くらい前にチーズの健康効果については結構本格的にまとめたので興味がありましたらどうぞ。
<チーズの健康効果>
豊富なデータと長期に渡る研究から、科学に言えば「適量のチーズは文句なく健康にいい」といい切ることが出来ます。ここまで信憑性が高い健康的な食品というのは実は殆どないのです。
・疾患リスクの減少による健康寿命の伸び
・心血管の正常化による肥満予防
・腸内環境の改善による美肌効果やメンタルの安定
・口内が酸性化することによる虫歯予防効果
などが期待できるため、健康な食生活を目指すなら、チーズは非常に強い味方と言えます。
チーズの食べ過ぎによって、
・特定の疾患リスクの僅かな増加
・カロリー過多による肥満
・脂肪分過多による肌荒れ
などが報告されていますが後に述べる適量の範囲なら何の問題もないと言っていいでしょう。
<チーズと肥満>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26907978/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28251937/
今回紹介されたのは2016年と2017年の研究ですが、チーズなどの乳製品が血液の正常化を行ってくれるというものですね。血糖値の変化は肥満と深く関わってきますからね。有名な地中海式ダイエットでもチーズの摂取を推奨していたりと、チーズ自体がダイエットに有効というのはある程度信憑性があります。
もちろんDaiGoさんはチーズと肥満の関連性については不明点も多いことは説明された上で提案されていました。しかしながら、チーズが入っているジャンクフードが肥満を防ぐというのは飛躍が過ぎる考え方でしょう。
「例えばポテトチップスなどなら、チーズ味の商品を選べばいいってことじゃないの?」
と考える人もいるかもしれません。しかしこれは結果的に正しくなる可能性はありますが、考え方としては大きな欠点があります。
結果的に正しくなる可能性というのは、『健康やダイエットを意識できるものを食べたほうがダイエットのモチベーションが維持できる』という研究があるからです。この場合、本当にダイエットに効果がある必要はありませんからね。
そして大いなる注意点としては、研究によって健康的というデータが出ているチーズの殆どが
ナチュラルチーズ
であるということです。ナチュラルチーズとは牛乳から直接作られたチーズのことで、このナチュラルチーズを溶かして乳化剤などを混ぜて固めたものをプロセスチーズと言います。お菓子やチーズ味の食品、ファストフードに使われてるチーズは99.99%プロセスチーズです。
ナチュラルチーズと違い、プロセスチーズには大量の添加物が含まれているため、チーズを推奨している本であってもプロセスチーズは避けるように言っています。ナチュラルチーズを加工して作ったプロセスチーズが僅かに含まれているポテトチップス…これに肥満防止効果を期待できるわけがないですね…
同様にチーズバーガーなどについても、本来効果が期待できるナチュラルチーズの要素があまりにも小さすぎると言えるでしょう。
<ナチュラルチーズを食べよう>
それでは肥満防止にチーズは使えないの?という話ですが、簡単です。ナチュラルチーズをおやつに食べればいいんです。
先程の研究から『1日の摂取カロリーの14%以下であるなら、チーズの肥満リスクは上がらない』というデータが出ているので、1日に大体80gまでなら大丈夫ということになります。体質やカロリー制限量にもよりますので、チーズの効果を得やすい30g~80gの間で調製してみるといいでしょう。
ちなみによく見る6ピースチーズはプロセスチーズです。
こちらも体に悪いわけでは無いでしょうが、美容・健康・ダイエット効果が確認されているものを選びたいなら裏の品目に「ナチュラルチーズ」と書かれているものを選びましょう。
同じ雪印から出ているこちらのナチュラルチーズがお気に入りです。 スーパーによっては売っていないところもありますが、ある程度保存も効くのでネットでまとめて買ってしまうのも手でしょう。
プロセスチーズと違い、チーズ本来の優しい味わいが美味しいです。1ピース大体15gなので、おやつ代わりに1日に2~3個食べることで楽しく健康的にダイエットが出来ますよ。
まずはおやつとしてナチュラルチーズを試してみてください!
怒りの感情をコントロールするリアプレイザルとは?【アンガーマネジメントのすすめ】
皆さんは日頃身の回りで怒りを感じることはありますか?
実は『怒り』という感情は、私達のストレスや認知能力、集中力や判断力などと大きな関係があり、科学的にも認知行動療法の分野でも注目を集めています。最近では中田敦彦さんが「アンガーマネジメント」の動画を出されるなど、ますます注目が集まっていると言えるでしょう。
【アンガーマネジメント①】怒りで失敗しないために今最も必要なスキル
今回は怒りという感情の性質と、怒りに振り回されて自分の人生を不幸にしてしまわないための『リアプレイザル(認知的再評価)』というテクニックについて紹介します。
この記事の内容
・怒りの持つ様々な性質
・リアプレイザルとは?
・怒りの感情と上手に付き合おう
<怒りの持つ様々な性質>
基本的に『怒り』の感情が湧き上がっているときは、判断力が正常でなくなっていることはイメージしやすいでしょう。また、怒りの感情がある状態では対人的コミュニケーション能力が大幅に下がります。自分が怒りを表さないでおこうと思っても、周りの人間はそれを読み取ってしまい、良好なコミュニケーションが取れなくなってしまうんですね。怒りや劣等感を特定のモチベーションに変えることはいくつかの研究で報告されていますが、少なくとも良好関係を築こうと言いう場面において、怒りが有効に働く場面というのはほぼ無いと言っていいでしょう。(『怒った振り』が有効な場面はあると思いますが)
ではこの怒りにどう対処すればいいのかという話ですが、実はこの『怒り』、結構対処が難しいんですよね。例えば怒りの感情を無理に押さえつけようとした場合、ポジティブな感情が減少、不安が増大、緊張が高まることが分かっています。一時的な感情の押さえつけは、長期的に見ると心に大きな負担をかけてしまうんですね。ではその怒りに任せて行動して発散するという行動が正解なのかと言うと、『怒りに任せた行動は、その怒りを増幅させてしまう』ということも報告されています。これは子供が自分の泣き声に反応して、一層泣きじゃくってしまう現象を思い浮かべるといいでしょう。
そんな訳で
・怒りを押さえつけてはいけない
・怒りに任せて行動してはいけない
という八方塞がりな状況ですが、対処法が無いわけではありません。怒りとは感情であり、人間の感情の波は長時間は持続しないという性質があります。また『怒り』の状態は人間の脳の認知機能のリソースを大幅に使う必要があります。つまり、怒りが湧いた場合、『とりあえず数分間、頭を使う作業に没頭する』ことが出来ればその怒りの波は穏やかになり、ある程度客観的に自分の状態を認識できる状態まで落ち着くことが出来ます。
例として…
SNSなどで酷いコメントを書かれてカッとなってしまった場合、すぐに怒りに任せて返信するのではなく、パズルゲームなどに数分間集中することで怒りを収め、冷静になってから考え直すのがいいでしょう。出来るだけ頭を使って集中できるゲームアプリを一つ、スマホに入れておくといいですね。
<リアプレイザルとは?>
とはいえ怒りを感じたときにいつもゲームを始められるシチュエーションにあるとは限りません。むしろ怒りを感じる状況というのは、関係者や当事者が目の前にいることのほうが多いでしょう。そこで今回のテーマ、『リアプレイザル』の登場です。
リアプレイザルはReappraisalと書き「Re(再び)」「ppraisal評価する」つまり再評価の意味です。これは脳神経科学的に有効とされているストレス解消法や感情コントロールの手段で、2014年にコロンビア大学から出された論文に詳しく提起されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23765157/
これによるとリアプレイザルは『外部からの刺激に対するモノの捉え方を変える感情制限戦略であり、これによって感情的なインパクトを変えることが出来る』とされています。怒りに対して使うことで、その怒りを捉え直し逸らすことが出来るということです。
一応この里アプレイザルは以前に紹介した本でもストレス解消のための手段として紹介されていました。合わせて勉強しておきたいですね。
リアプレイザルの例として
・嫌なことがあった→これは自分を成長させてくれるチャンスだ
・相手の態度が悪い→相手にも何か嫌なことがあったに違いない
・全然うまく行かない一日だった→体が休息を求めていたのかも…ゆっくり休もう
といった感じで、原因を再評価してみるという方法です。もちろんこれは自分がそう捉え直しているだけで、真実である必要はありません。
カッとなって怒りに身を任せそうになったときは一度思い立って、怒りの原因を無理やり再評価してみましょう。衝動的な怒りを抑え、客観的に判断できる状態にコンディションを戻してくれます。
<感情のごまかしをやりすぎるのも危険>
とはいえこのリアプレイザルもメリットばかりではありません。言ってしまえばこれは怒りの原因をごまかしているのに近いので、いつもこうやって怒りを反らしてばかりだと、それはそれで精神に良くない面もあります。
『リアプレイザルが有効に働かない場合』
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797616669086
こちらの研究では、「自分の力では同しようもないことに対する怒りに対してリアプレイザルは有効だが、自分の力でどうにかできる怒りに対して使うと、返って不幸になる」ということが報告されています。
自分の感情と向き合うべきときにはリアプレイザルを使ってはいけないようですね。衝動的な怒りが込み上げた場合の応急措置としてリアプレイザルを使い、後ほどもその怒りが込み上げてくるようならしっかりと向き合って怒りの原因を見据え、対策しましょう。この辺りの対策が必要な人は以前の記事を参考にしてみてください。
<怒りの感情と上手に向き合おう>
そんな訳で良好な関係を作りたい相手と関わる場面で怒りに囚われそうになったら。
・没頭できるゲームで4~5分遊んでみる
・瞬間的、衝動的な怒りにはリアプレイザルで再評価し、怒りを逸らす
ということを試してみてください。感情をコントロールしすぎるのも大変ですが、メンタルを強くして自分の感情に振り回されないようにしたほうが、幸せな人生が送れると思います。
カフェイン中毒に対する最高の解答は〇〇
<コーヒーを飲まないと頭痛が…>
皆さんはコーヒーを飲みますか?コーヒーに含まれるカフェインは脳のワーキングメモリを活性化させてくれるので、寝起きや休憩時にコーヒーを飲むことで仕事の効率も上がります。他にもカフェインが脳や体の様々パフォーマンスを上げることが分かっており、毎日何杯も飲んでいるという人もいるでしょう。
しかしカフェインにはデメリット(後述します)も存在しており、定期的なカフェイン断ちが推奨されています。とはいえコーヒーを飲まないと調子が出ないという人も多いはず。今回は「ある行動がカフェインの代替になるかも!?」という研究の紹介です。
<カフェインの効果と副作用>
コーヒーの良いところはなんといっても手軽なところでしょう。飲むだけでメリットを享受できるのですから、時間的にも手間的にも非常にパフォーマンスが高いと言えます。しかしカフェインはメリットだけではありません。体質に合わない人はアレルギー症状を起こすこともありますし、過剰摂取によるリスクも報告されています。
なによりコーヒーを飲む人が全員知っておかなければいけないのがカフェイン中毒の離脱症状です。これはカフェインを一定時間摂取しないでいると疲労、集中力の低下、気分の落ち込み、頭痛などの症状が出てしまうというものです。ある意味カフェインによる依存性みたいなものですね。
その上カフェインの効果は『続けているとだんだん効果が弱まってくる』という特徴があります。たくさん飲んでいるとだんだん効き目が弱くなってしまい、より多くのカフェインが必要になってしまう悪循環が発生します。これが先程の離脱症状と相まって、仕事のパフォーマンス低下や睡眠の質低下を起こしてしまうわけです。
よってコーヒーをよく飲む人の場合は定期的にカフェイン断ちをすることが推奨されています。これは継続的に飲み続けることで、カフェインの効果が薄くなっていき、中毒性が高まってしまうことからきています。私の場合は『平日は1~2杯のコーヒーを飲む』『休日は決して飲まない』『半年に1回は1週間のカフェイン断ちをする』の3つを決めて、摂取量を守っています。しかし、この辺りは体質や仕事内容にもよりますので、なかなか守るのは難しそうです。
カフェイン断ちに興味がある方はこちらをどうぞ
<ウェスタンオンタリオ大学の研究>
カフェインは体質による違いが大きく出るのに対し、ほぼすべての人がリスク無しに効果を得られるものとして、軽い運動は推奨されています。そして有酸素運動もまた、人間のワーキングメモリを上げてくれる行動として注目されています。カナダで心理学ベースの運動学を研究しているMorava氏は「軽い運動によって、カフェインと同じメリットを享受できるのではないか」と主張しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-019-56251-y
発表:2019年12月
研究①ワーキングメモリの変化比較
・ルームランナーで20分早歩き
・コーヒー1杯量に相当するカフェイン
結果として、中程度の有酸素運動を行った場合は、コーヒー1杯分を摂取したときと同程度ということが分かりました。ウォーキングがカフェインの代わりになるというのは、なかなか心強いと言えます。
研究②カフェイン中毒者を対象
カフェイン・運動・認知能力についての理解を深めるため、Morava氏のグループは、カフェイン中毒の離脱症状を起こしている人たちにもワーキングメモリの実験を行いました。結果として離脱症状が出ているものの、認知能力自体には影響を与えなかったという結果が得られました。続いてこれらの被験者に20分の早歩きを実施したところ、中毒の離脱症状を軽減させ、特に疲労と気分の落ち込みを改善することが分かりました。
<コーヒーを飲む人の強い味方>
今回の研究から20分の早歩き(中程度の有酸素運動)は
・コーヒーの代わりになる
・コーヒー断ちをしている人の体調を改善する
とみることが出来ます。
朝にコーヒを飲んでいる人は、手始めとして朝コーヒー止めてウォーキングから始めてみては如何でしょうか?ステッパーなどがあれば雨の日でも運動できるので便利です。
ちなみにコーヒーを飲むなら10時~16時の間に1~2杯飲むぐらいがオススメです。夕方以降はその日の睡眠の質に影響を与えるので控えておきましょう。
今回は以上です。有酸素運動を活用して、効果的にコーヒーを楽しんでいきたいですね。ちなみにコーヒーの話ならこちらがオススメです。
無自覚に陥る『自分が正しい』の悪循環【知的謙遜】
<『自分は正しい』という思い込み>
「間違いは誰にでも起きる」
「自分の知ってることは限られている」
ということを冷静に受け入れる『知的謙遜(知的な謙虚さ)』について以前に紹介しました。所謂『無知の知』ですね。これが疎かになると「自分は正しい」というバイアス(思い込み)が強くなり、様々な場面で判断を間違えてしまいます。
https://theconversation.com/could-a-lack-of-humility-be-at-the-root-of-what-ails-america-116118
これに関して、ノックス大学の心理学教授フランク氏が「現代社会は知的謙遜が低い人間を好み、そういった人間を生み出しやすい構造になっている」と指摘しています。そんな訳で、定期的に振り返るシリーズとして今回は知的謙遜について取り上げます。
<知的謙遜とは>
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/009164711404200103
『知的な謙虚さと宗教観』
知的謙遜は人格心理学の分野で最近注目されだした考え方で、人間関係や知識、世界観に大きな影響を与えることを複数の研究が報告しています。特に人間が陥りやすい思考の偏り、所謂バイアスに対して、知的謙遜は非常に大きな関わりを持っています。
顕著に見られたのが反対意見に対する反応です。知的謙遜のスコアが高い人は①曖昧さに対して忍耐強い②反対意見に対しては証拠を求める③答えは一つとは限らないと考える傾向にあったようです。知的謙遜のスコアが高い人のほうがバイアスに引っ張られずに正しい判断を下すことが出来るというのは当然と言えますね。
知的謙遜の根本にあるのは、「個人の知識や認識はパズルのピースに過ぎない」という姿勢です。例えば大人は子供よりも多くの知識を持っているため、自分の認識は子供の認識よりも常に多く正確だと考えてしまいます。しかしそれは間違いで、実際には大人には大人が認識しているパズルのピースがあり、子供には子供の認識しているパズルのピースがあると考えなければいけないのです。
知的謙遜について詳しく知りたい方は以前の記事をどうぞ
<知的謙遜を下げさせる現代社会>
一般的に知的スコアの高い人というのは多くありません。デューク大学のメアリー氏が行った実験では、「過去6ヶ月の間に自分の意見が同意されなかったときのことを思い出してください。そのうち自分が正しいと思ったのは何%ですか?」という質問に対して、回答の平均は66%であり、なんと50%以下と答えた人は殆どいませんでした。ネガティブな経験ほど頭に残りやすいという傾向を差し引いても、やはり人間は「自分の意見が正しい」と潜在的に思ってしまう生き物のようです。
その上現代ではSNSなどの情報共有媒体が発達したおかげで、「知的謙遜が低い人ほどよりその傾向が強くなってしまう」とフランク氏は指摘しています。インターネットの発達は、知的謙遜のスコアが高い人にとっては幅広い意見を集め、より正しい判断を下すための助けになりますが、知的謙遜が低い人の場合だとそうはいきません。
①知的謙遜が低い人は反対意見を許容できない
②ネットの世界では自分の意見を後押ししてくれる考え方が簡単に見つかる
③自分の考え方に賛同してくれるものばかりで集まることで、より知的謙遜が低くなる
という悪循環になってしまうのです。この辺りの話は、以前にバイアスの話をしたときに、確証バイアス(自分の意見に賛成する情報しか目に入ってこなくなる傾向)としてお伝えしたことがありますね。
<知的謙遜を高めるために>
「知的謙遜を高めたいけどどうすればいいんだろう?」
と思った人は、まずは半分以上知的謙遜が出来ていると言えます。知的謙遜が低い人ほど、知的謙遜の必要性を感じられないんですよね(笑)
ちなみに知的謙遜を高めるトレーニングみたいなのはまだ研究途中です。
知的謙遜を高めるポイントとして以前に紹介したのは
・自分の感情と判断を切り離せるか
・新たな根拠が示された時、自分の意見を変えられるか
・自分と違う他人の考え方や視点を尊重できるか
・自分の知識に過剰な自信を持ってしまっていないか
について定期的に振り返るようにすることが大切ですね。
また、もう一つの方法として、バイアスについて知るというのも有効です。『人間は無自覚に思い込みにとらわれてしまう』ということを自覚しておくことは、その人の知的謙遜のスコアを高めてくれます。
そういう意味では、自分の認識していない部分が学べるような本を読むことも知的謙遜を高めるのにはピッタリだと言えるでしょう。あなたは「自分が正しい」にとらわれていませんか?